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雲は遠くて
37章  川口信也の妹の美結(みゆ)、やって来る (4)
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37章  川口信也の妹の美結(みゆ)、やって来る (4)

「しんちゃんは、ゴマするわけでもなく、言いたいことをいってくれるから、
それがいいんだよ。おれもこれまで、まわりがイエスマンばかりで、
まあ、人のせいにはできないのだけど、天狗(てんぐ)というか、
裸の王様になっていたんだから。あっはは。人生って、いくら歳とったって、
わかっているつもりで、わからないことはあるんだし、気づかないことは
あるんだよね。最近では、もっと自己変革させて、変えていこうかって思うよ。
お金や地位があるからって、偉そうにしてはいられないよね。あっはは」

「それはそうかもしれないけど。自己変革ですかあ。おれもしなくちゃ」

 そういうと、信也は、竜太郎と初めて会ったころの、自分を優れていると
思って人を軽く見るような、高慢(こうまん)さがなくなっていることを、
(うれ)しく思う。

「わたしがいうのも、生意気でしょうけど、竜さんも幸平さん信ちゃんも、
なかなかいない紳士で、素敵な男性よね」

 大沢詩織(おおさわしおり)が、独り言のようにそういう。

「え、詩織ちゃん、紳士って、上品だったり、教養があったり、礼儀正しかったり
する、いわゆるジェントルマンってことですよね。ありがとうございます!」

 新井幸平は、素直に、そういって(よろこ)んだ。

 そんなテンポのいい会話に、みんなはわらった。

「しかし、紳士なんていわれると、(うれ)しいですよね。つい、
かっこつけて、自己変革なんていってしまったけど。
でも、本音(ほんね)をいえば、ただ、好きなことやって、
快楽を追求しているっていうのが、おれなんだけどね。あはは。
ただ、交通違反はめんどうなだけで、ルール(規則)や
マナー(礼儀)を守っているというだけですよ」

 竜太郎は、詩織(しおり)美結(みゆ)麻由美(まゆみ)
目を合わせながら、上機嫌でそういた。

「でも、竜さんの会社のお仕事って、ひとことでいえば、お客さまに
快楽を提供するお仕事ですよね!わたしのモデルやタレントの
仕事にしても、快楽を提供する、エンターテイメント(娯楽)のお仕事
ですものね。わたしって、あたりまえのことをいって、おかしいわよね」

 秋川麻由美はそういって、わらう。みんなもわらった。

「おかしくないですよ。麻由美ちゃん。そういわれてみると、
世の中の会社っていうか、仕事って、快楽を提供する
仕事が多いかな?生きることの本質は快楽の追求なのかな?
そういえば、おれの何より好きなエッチなことも快楽だしね」

 竜太郎のそんな軽い会話に、みんなはわらった。

「でも、竜さんのよくいっているように、単純に考えれば、
みんなが快楽を満
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