36章 信也と竜太郎たち、バー(bar)で飲む (2)
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36章 信也と竜太郎たち、バー(bar)で飲む (2)
新井竜太郎と川口信也、大沢詩織、秋川麻由美の4人は、
池林坊の開店時刻の4時半から、
四角いテーブルに座ると、4人とも、氷点ハイボールを注文した。
つまみは、生ハムのクレソン添え、牛タンの塩漬け、野菜スティック、
サンドウィッチ風のアメリカンクラブハウスやアップルパイとかを注文した。
「美味しい、このハイボール!ねえ、麻由美さん」
「ほんと、美味しいわ、詩織ちゃん、極上のハイボールよね!」
と、大沢詩織と秋川麻由美は、
男心をそそるような甘く可愛い声で、池林坊の
凍らせたタンブラーに入った氷点ハイボールに上機嫌である。
「ハイボールはウィスキーのソーダ割りというシンプルさがいいよね。
シンプル・イズ・ベスト、単純素朴が最良だってことかな、あっはは」
そういって、わらうと、新井竜太郎は氷点ハイボールの凍った
タンブラーを持って、美味しそうに飲む。
タンブラーを持つ竜太郎の姿に、上品な趣きがあるなぁと、
信也は感じて、……この人は不思議な人だと思わず、微笑む。
「竜さん、フォレストとの合併の失敗の原因は何だったと思いますか?」
信也は素直に、思うまま竜太郎に聞いてみた。
「合併の失敗の最大の要因は、フォレストの経営陣を説得出来なかった
ことだよね。エタナールの経営方針に従ってくれなかったんだよ」
「合併交渉というものは、役員人事とかの人間関係が難しいですよね」
「まあ、そういうことだね。信ちゃん。男女の恋愛と同じさ。あっはは」
「人は、愛する対象や、愛する人だけからしか、学べないものだって、
あのドイツの文豪のゲーテもいってますけどね」
「そうなんだ、あのゲーテがね。おれも文学者の言葉では、日本の
北村透谷の言葉に衝撃を受けたよ、
15歳のころにね。恋愛は人生の秘鑰なり、恋愛ありて
後人世あり、恋愛を抽き去りたらむには
人世何の色味かあらむ、という透谷が書いた評論の
書き出しだけどね」
「ああ、その透谷の言葉は、ぼくも知ってますよ。 秘鑰は、
錠前のことですよね。人生の扉を開け閉めするための
錠前が恋愛であって、そんな恋愛を通過しないと、本当の人生には
入れないのだってことですよね。恋愛があって、初めて、
その後に本当の人生があるなんていうことは、透谷が
はじめていったんじゃないかな?すごいですよね、透谷って人は」
「信ちゃんも、よく知っていますよね。
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