第三十七話
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めも、紗理奈は思い切った判断でしのぐ。
カァーーン!
3番の榊原も大飛球を放つ。
が、もうひとつ伸びがない。
パシッ!
センターの茉莉乃が大きく下がって、フェンスの手前で捕る。紗理奈は小さくガッツポーズしてベンチに戻っていく。選抜ベスト4の帝東打線を三回無失点。主役に転じた紗理奈が、グランドの中心で躍動を続ける。
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<8回の表、帝東高校シートの変更をお知らせ致します。ピッチャー神島さんに代わりまして、浦中くん。9番ピッチャー浦中くん。>
8回表のマウンドには、飛鳥に代わって帝東の三年生エース、浦中良太が上がる。
「今日は投げないはずじゃ…」などと言っていた姿はもうなく、試合を勝利に導かんとするエースの顔をしていた。
(タイミング取りにくいはずの飛鳥にここまで合わせてくるんだから、サザンクロスの打線もまずまず強力なのは確かだ。楽観的にはなれねぇな。)
「ここでエースが出てきたか」
ベンチ前で投球練習に合わせて素振りしながら権城がつぶやいた。
「ふん!誰が出てこようと打つだけよ!」
この回先頭の三番、茉莉乃はどこか嬉しそうだった。飛鳥のシンカーにきりきり舞いしていたので、飛鳥の降板は茉莉乃にとってはありがたいと言えよう。
(相性で言えば、変則技巧派の飛鳥よりも、本格派の浦中の方が良いのは確かだ。でもあと二回しかないんだよな。ねじ伏せられちまったらそれで終わりだよ。)
<3番センター楊茉莉乃さん>
8回表の攻撃、三点差を追う状況ではクリーンアップからのこの回で少しでも点を返し、できる事ならば追いついておきたい。
(もうあのシンカーは無いんでしょ?普通の右のオーバースローなんか、あたしにとっちゃカモよ)
意気込みに溢れた表情で茉莉乃が打席に立ち、浦中はそれに負けじと睨みつけるような視線を送って振りかぶる。大柄で横幅もある体格から、浦中が投げ下ろした。
バァン!
「ストライク!」
初球のストレートに、茉莉乃は手が出なかった。スピードガンは、145km/hを表示している。
(さすがに、アンダースローからこの球速に代わられると、初球からは無理ね)
茉莉乃は強気な表情を崩さないが、浦中の球威には内心驚きを隠せない。
カンッ!
「ファール!」
茉莉乃はストレートが好きな打者だが、その茉莉乃をストレートで押し込んでいく。二球ストレートを続けて、早々と浦中は追い込んだ。
(くそっ、何よ!速いだけならあたしには打てないはずが……)
球威に押し込まれて、茉莉乃はムキになった。そうしてムキになった茉莉乃が手を出した三球目は、手元でぐんっと曲がった。
「ストライクアウ
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