第6章 流されて異界
第96話 狭間の世界
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そして、何よりも重要な部分。彼女の魂が持つ雰囲気も同じ少女……型人工生命体。
「少し視線が気に成ったか。それはすまなんだな――」
最後に何故かこの部分も同じ――ハルケギニア世界の湖の乙女と同じセーラー服姿の少女に謝罪の言葉を口にした。
もっとも、彼女が俺の視線如きを気にするはずはないと思いますけどね。
「――長門さん」
ひとつ小さく呼吸を吐き出してから、彼女の名前を口にする俺。その瞬間、俺を見つめて居た彼女……長門有希と言う名前の人工生命体の少女から何とも言えない気が発せられた。
それはとても冷たい。そして、とても哀しい気。
彼女は何故か、俺が名前を呼ぶ度にこのような気を発するのですが……。
しかし、それも一瞬。まして表情は一切変える事もなく、微かに首肯いてくれる彼女。そんな仕草ひとつ取ってもハルケギニア世界で出会った水の精霊王、湖の乙女ヴィヴィアンとまったく同じ。
ただ、何故か彼女は湖の乙女ではなく、そしてここはハルケギニア世界ではなかった。
俺がこの世界……俺が暮らして居た地球世界に良く似た世界にやって来た理由は、彼女が召喚作業を行ったから。
何でも、この世界では今年の二月に世界を滅ぼしかねない事件が起こり、その事件を解決したのが俺の右隣の席に座る長門有希と言う名前の人工生命体の少女と、異世界から流されて来た武神忍と言う偽名を名乗る少年だったらしいのですが……。
もっとも、俺の方の記憶にはそんな事件の記憶など一切ありません。二〇〇二年の二月なら、元の暮らして居た世界で高校入試の直前だったので、そんな厄介な事件……。次元移動の後に羅?悪大星君復活に巻き込まれるような事件を忘れる訳はないでしょう。
おそらく、その事件を解決したのは俺の異世界同位体。もしかすると魂まで同一の存在の可能性も有るので時間の軸も違う可能性も有りますが、少なくとも今生の俺のなした仕事では有りません。
それで、その事件の影響……この十二月にも何か事件が起きる可能性が有ったらしく、最初から事件に関係の有ったその異世界同位体の俺を召喚しようとして、異次元に跳ばされていた俺を拾った、と言う事。
そこまで思考を巡らせた後、もう一度、隣の席の少女を見つめる俺。但し、今度は少し視線に能力を籠めて。
その俺の瞳に映る薄らとした淡い光の帯。その片方は彼女の元に。そしてもう片方の端は俺の元へと繋がる。
……間違いない。俺と彼女の間には、何らかの絆……それも、霊道と言う霊気をやり取り出来る絆が存在する。
この事態。異次元に跳ばされていた俺を、偶々彼女の行った召喚作業が拾ったと考えるのは容易いでしょう。確かに最初、あの場に居たもう一人の女性。この長門有希と言う少女の仙術の師匠に当たる|水
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