第6章 流されて異界
第96話 狭間の世界
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安堵。そしてその言葉の内容と、彼女の香りに落ち着きを取り戻す俺。
両腋に回された細い腕。俺を強く抱きしめるその感触と、彼女の華奢な身体に触れる事により妙な安心感を覚えた。
ゆっくりと閉じる瞳。もう目を開けているのさえ辛い状態。
まして……。
まして、彼女が居る場所ならば大丈夫。何も問題はない。
薄れ行く意識の中で大きく息を吐き、膝立ちになったであろう彼女に全身を預ける俺。ただ、何時の間に其処までの信頼を置くようになったのか少し疑問が残るのですが……。
それでも、
【すまない、後の事は頼む】
声さえ出せず、【念話】でのみ彼女……湖の乙女にそう告げた後……。
それまでずっと保って居られた事が不思議な意識を手放したのだった。
☆★☆★☆
朝礼の始まりを告げるチャイムが鳴り響く廊下。先に立って進んで行く身長差約二十センチの担任を少し見下ろすような形で付いて行く俺。
十二月と言う時期。更に、朝と言う時間帯。流石にこの季節の朝は冷たく、閉めきられた廊下の窓を遠くの山から吹き下ろして来る季節風がガタガタと揺らせていた。
時刻は朝の七時四十五分。下ろし立ての上履きがパタパタと少しマヌケな音を立てながら進む事数分。玄関から入った直ぐの場所に在るホールを見下ろすように二階の廊下を進み、四つ角を右に。一組から順番に並ぶ六番目の教室。一年六組と言う表札が出されている教室の前で立ち止まる担任。
そうして、
「ここが、貴方がしばらくの間、学ぶ事になる教室よ、忍くん」
振り返った若い女性から甘い花の香りを感じる。彼女に良く似合うジャスミンの香り。
矢張り香りと言うのは、その時の気分を変える効果が有るな。そうぼんやりと考える俺。
但し……。
「本当に、俺が学校に通う必要が有るんですか、綾乃さん?」
未だ納得したとは言い難い雰囲気でそう答える俺。当然、俺の表情は不満げで、更にやる気もなし。
もっとも、これは少しの演技が入って居るのも事実なのですが。
そんな、まったく言う事を聞かない弟のような状態の俺を、少し困ったような表情で見つめる綾乃さん。
もしかすると、この顔が見たいばかりに、俺はこんなクダラナイ事を口にしたのかも知れない。そう考え始める俺。
しかし……。
「綾乃さんじゃなくって甲斐先生でしょう。忍くん?」
そう言いながら問答無用で教室のドアを開く綾乃さん。何と言うか、少し答えがずれて居るような気もしますが、これが俺の良く知って居る普段の彼女の反応。それに冷静に考えると、彼女の部屋でゴロゴロして居るよりは余程マシかも知れませんから。
ドアを開けた瞬間、妙に暖かな空気に包まれ、ここが俺と同年代の
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