第6章 流されて異界
第96話 狭間の世界
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年目。……と言う雰囲気で絡まれているようにしか思えないのですが。
まして、ただ話がしたいだけの相手のネクタイを掴んでどうしようと言うのですか、彼女は。ネクタイを掴んだら、後は自分の方に引き寄せるしか利用価値などないと思うのですが。
【彼女とあなたの関係は単なる友人関係。それ以上の物ではない】
しかし、感情の籠らない抑揚に乏しい口調で返された答えはコレ。俺の冗談に関しては素直に無視されたのか、それとも修羅場と言う言葉の意味が判らなかったのかについては不明ですが。
【それに、彼女が話したいだけと言うのなら、本当に話がしたいだけ】
俺が答えを返さないでいる事に不安を覚えた訳ではないのでしょうが、こう言う説明を続ける長門さん。
う〜む。彼女の言葉を信用しない、と言う選択肢はないと思うので、この俺を睨み付けている美少女は本当に俺と話がしたいだけなのでしょう。
そう考えた瞬間。
何と言うか絶妙なタイミングで鳴り響くチャイム。時刻は八時三十五分。これは一時限目の予鈴。
「さぁ、涼宮さん。話をするのは授業が終わった後でも良いでしょう?」
ズルズルとハルヒを引っ張って行きながら、そう言う朝倉涼子。う〜む、かなり暴れている同年代の少女を抑え込んで引っ張って行ける少女。これはいくらなんでも高スペック過ぎるのでは……。
「命拾いしたわね」
そうしてこちらの方は、まるでドラマに登場する悪役の捨て台詞のような物を残して連れて行かれるハルヒ。じたばたと両腕や両足を動かしているが、しかし、朝倉涼子の縛めは堅く彼女の自由を完全に奪って仕舞っている。
しかし……。
う〜む。長門さんの言う事を信用するのなら、もしかするとハルヒが手を出して来た時に、素直にネクタイを掴ませてやれば……。
ここまで妙な騒動には成らなかったのでは。
確かに勢いに押されたとは言え、相手は一般人の少女。その彼女にネクタイを掴ませるぐらいで俺に被害を与えられる訳はない。
それだけの事で彼女……涼宮ハルヒは納得したのでは――
そう考えてから、長門さんの方に視線を向ける俺。何故か乗っけから対応を誤ったような気がして、少しアレな気分なのですが……。
俺の視線と彼女の視線。そのふたつの視線が絡まった瞬間。
一時限目の開始を告げるチャイムが教室内に鳴り響いたのだった。
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