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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第三章 メズーン・メックス
第一節 離叛 第三話 (通算第43話)
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 僚機が撃墜されたことに焦ったか、メインカメラを潰された《ジムU》が、アポリー目掛けてビームライフルを射った。
「アポリー!」
 ロベルトが叫ぶ。アポリーは不意を突かれながらも、辛うじてかわした。僚機に軽く挨拶を送ると敵に向かって悪態をつく。かわせたのはアポリーの実力もさることながら、《リックディアス》の性能に依るところが大きい。
「正気かっ?自分たちのコロニーでライフルなんて、ここには民間人だっているんだぞ!」
「連中にとって、スペースノイドは人間じゃないってことなんだよ」
 アポリーが激昂した。宥めるような発言を吐き捨てたロベルトとて憤ってる。『ジオン軍人は民間人――例え敵国の市民であったとしても、守るために存在する』という精神が殊のほか強い。一年戦争でジオン軍が比類なき強さを誇った一因に、スペースノイドの守護者たらんとした思いが下地になっていたことは言うまでもない。ともすれば、厭戦気分になりがちな地球攻撃軍が、終戦後も士気旺盛であったのはこのためである。
 加えて、コロニー内部で銃器を使うことは南極条約によって禁じられている。軍事特例があるといえども、先の時点では双方に発砲の理由がなかった。正体不明機が相手であるとはいえ、告発は免れられない。
「……やるしかないっ」
「こうなった以上は……な。幾分、大尉の負担が減るはずだ」
 発砲した《ジムU》のパイロットに同情の念がない訳でもない。だが、敵がビームライフルを射つ限り、アポリーたちが避けるほどにコロニーに被害が出てしまう。コロニーを身を呈して守る訳にはいかない。被害を最小限にするためには敵を手早く撃墜するしかなかった。《ジムU》ごときに遅れをとりはしないが、増援の有無は気掛かりだった。
 アポリーもロベルトも《リックディアス》にバズーカを構えさせて、応戦の気配を見せつける。距離を空けて武器を持ちかえるタイミングを図るためだ。威力の高いバズーカよりも速射性に勝るビーム兵器のほうが良いという判断だ。〈バルカンファランクス〉を一斉射し、追従しようとする二機の《ジムU》の出端を挫く。
 迎撃にでてきた《ジムU》は白地に赤紫のボディーカラーをしている。これは再編された宇宙軍において〈ルナツー〉の部隊であることを表していた。サイド7は〈ルナツー〉の軍管区に属するコロニー群であり、駐留は言われてみれば当然である。しかし、ティターンズが占有以後も駐留しているとは誰も考えなかった。〈ルナツー〉駐留軍は連邦宇宙軍でもアースノイドの比率が最も高い。シャアの懸念は当たっていた。
《ジムU》が携行するビームライフルは、ブラッシュ社製BR84Aで、小振りながら、初代《ガンダム》が携行したXBR79bと同出力を持つビームライフルだ。弾装カートリッジは内蔵であるが換装可能なため、取り回しの良さから好むパイロット
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