第一部 刻の鼓動
第三章 メズーン・メックス
第一節 離叛 第二話 (通算第42話)
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三機の《リックディアス》が車座に並ぶ。『お肌の触れ合い会話』のために三機は互いに接触していた。ロベルト機だけが後ろ向きになり、周囲を警戒している。
シャアは、〈グリプス〉への強行偵察の首尾を手短に話した後、二人に現状の確認した。
「状況は?」
「新型です」
ロベルトの返答は短く簡潔であった。
「機影は一機、その他に搬入されている機体が二機、こちらには三機かと。とりあえず、そちらに映像を回します」
「頼む」
アポリーはロベルトの推測も付け加えて伝えつつ、件の映像を赤外線通信でデータを転送した。受信完了とともにシャアが素早く目を通す。その形状などから性能を推測させるにはデータ不足なのは明らかだ。
「……やはりな。コチラが本命だったか」
シャアが〈グリプス〉で遭遇した機体にはナンバー表記がなかった。しかし、二人の撮影した映像には《03》の文字がはっきりと見てとれた。つまり、〈グリプス〉にいた機体は調整中の試作機であり、〈グリーンノア〉にいる機体が調整後の試作機ということになる。四機以上の《ガンダム》をティターンズが既に保有しており、実戦投入が可能だと看るべきだ。
さらに、《ガンダム》の飛行訓練を〈グリーンノア〉でしているということは、シャアが見た〈グリプス〉の半分が開発と生産の拠点であり、隔壁の向こうは軍事演習場ではなかったということになる。まさにシャアの予感通りであった。
結局、〈グリーンノア〉もティターンズの軍事拠点なのだ。サイド7が連邦政府直轄領であるのをいいことに、ティターンズどもが好き勝手している。スペースノイドからすれば赦されることではない。しかし、その事実をどう明らかにするのか。それが問題である。
「では……?」
「予定通り作戦を続行する。第一目標《ガンダム》の滷獲。滷獲が不可能な場合、第二目標として、できる限りの情報を持ち帰る」
シャアの指示は明確だ。作戦はそのためのものであったし、ロベルトの意見を鑑みればスポンサーの意向だからということよりも、敵の戦力を分析するためにも必要である。ましてや新技術であるなら、なんとしても手に入れたかった。
(それにしても……)とシャアも思わないでもない。一年戦争でも《ガンダム》を襲い、今また《ガンダム》を襲おうとしている。因縁とはこういうものなのであろうか。これで《ガンダム》にアムロ・レイのようなニュータイプが搭乗していたら、神の悪戯などではなく、シャアにまとわりつく因果律としか思えない。サイド7という場所は、シャアの人生の転機に深く関わっている――いや、シャアからすれば関わり過ぎていた。
三機の《リックディアス》は背部のマウントラックに吊らしたクレイバズーカ――ツィマッドとアナハイムが共同開発したジャイアント・バズの後継にあたる二○○ミリ無反動砲を構えた。アポリー
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