第一部 刻の鼓動
第三章 メズーン・メックス
第一節 離叛 第二話 (通算第42話)
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を先頭に縦列隊形を組む。コロニーへ侵入するのだ。
「孔はギリギリでいい。コロニーにダメージが残らないようにしてくれ」
「敵の本拠地と言っても民間人がいますからね」
軽口を叩いたアポリーの《リックディアス》から火閃が伸びた。クレイバズーカから発射された実弾がコロニーの外壁に孔を穿つ。爆炎が〈河〉を構成する特殊硬化ガラスの破片を煌めかせ、爆風が外に散っていった。コロニーから空気が噴出し始めたのだ。内部では警報が鳴り響いていることだろう。
コロニーほどの巨大な構造物にとって、MSが通れるほどの孔が開くというのは、満水になった一・五リットルのペットボトルに針で孔を作ったようなものであり、水が少しずつ絶え間なく漏れるように、瞬時に空気がなくなってしまうというものではない。気圧差から、宇宙空間に様々なものが噴き出されはするが、戦艦でも激突して爆発しない限り、一気に噴出しはしない。タイヤのエアチューブから空気が漏れるのに似ていた。この程度であれば、人が住めない空気濃度になるまでには一週間はかかる。コロニー公社が補修を完了するまで二〜三日であり、ウォールフィルムによる応急処置ならば一日も掛からない。
「行くぞ!」
「了解」
「諒解」
二人の機体が編隊を崩さずに追従し、三機は侵入口からコロニー内部へくぐり抜けた。
シャアの機体が先行する。アポリーとロベルトは追従しない。広く展開してシャアを囮にする作戦だった。シャアの機体はアポリーやロベルトの機体より目立つ。他の機体に邪魔されさえしなければ、《ガンダム》の滷獲など容易いことだ。アポリーとロベルトは守備隊のMSをシャアに近づけない役割を負っていた。
「機影、三。十二時!」
「続いて目標を確認。ザコは引き受けました」
アポリーとロベルトが同時に牽制の弾幕を張る。頭部のハッチが開いてガトリング砲が露出し、火線を吐く。コロニー内部ではできるだけビームライフルもクレイバズーカも使いたく無かったのだ。
メインカメラが火を吹く。《ジムU》がやや後退した。MSにとってメインカメラは大事ではあるが、サブカメラや各種センサーが体の各所にあるため、操縦に支障があるほどではないが、格闘戦では不利になるからだ。 さらにロベルトがダミーを射出する。この近距離では牽制以外のなにものでもない。ダミーへ無造作に突っ込んだ《ジムU》が爆発に巻き込まれる。バックパックを被弾し、失速して墜落していった。
「素人がっ」
ダミーとはいえ爆薬が仕掛けられている可能性を考えずに飛行するのは愚かである。残るMSは《ジムU》二機と《ガンダム》だけであった。
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