夏祭りフェイズ 1
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「……稟ちゃんに、さっき耳打ちしてたじゃないですか」
指摘を一つする朔夜。濃い桃色は中々どうして、白髪にしっくり来るモノだ。
「ねぇ、流琉。出店で何食べよっか!?」
元気な声を上げてはしゃぐ季衣。明るい黄色に花火の絵柄は彼女の太陽のような笑顔とよく合っている。
「もう、すぐ食べ物の事ばっかりなんだからー」
咎めながらも楽しげな流琉。水色に金魚の模様は定番である。しかし着こなせるモノはそういないだろう。
「……華琳様……はっ」
見惚れていた桂花。白地にヒマワリの絵。日輪の方を向く華は彼女に合っているのではなかろうか。
「あぁ、月……あんた可愛い過ぎよ」
同じく見惚れていた詠。薄緑色とは予測がつかなかっただろう。濃い緑の髪を意識されていた。
そして、中央。
白と黒を身に纏った彼女達。華琳と月。
「ふふ、似合ってるわね。皆」
「そうですね、華琳姉さま」
優しげに微笑む二人は手を繋いでいた。
華琳の浴衣は白。月の浴衣は黒。どちらも鮮やかな華々が咲き誇っていた。それはまるで……―――――――の如く。
ちなみに、歌姫三姉妹はミニ浴衣である。彼女達が祭りの日に舞台をしない事などあろうか。
なので、動きやすいようにミニ浴衣。通常の浴衣は後日にとある事情で着る事になっていたりする。もちろん、天和と地和が着たいと騒いだからだが。
そんなこんなで、秋斗の目の前には美しい彼女達が和の心を着こなしていた。感動すら覚えるその光景に目を奪われない男はいないだろう。
秋斗もちゃっかり黒に白い線が入った浴衣を着ているのであった。
「みんな嬉しそうで良かった……」
微笑みと共に零した。きゃいきゃいと騒ぐ彼女達を見て、秋斗は計画してよかったと心より思った。
そんな中、クイ……と袖が引かれて、何も言わずに手を繋いだ。
じわりと彼女の体温が伝わる。どうした、と聞くことは無い。こっちも見て、と言っているのだ。他の子ばかり見てないで何かいう事はないですか、と。
随分と可愛らしいわがままを言ってくれる、なんて考えながら、彼は小さく苦笑を零した。
その言葉を、まだ秋斗は誰にも言っていない。試着の時でさえ言わなかった。彼女にだけ、一番に言いたかったから。
隣を向いて、じっと見上げる少女と目を合わせて、秋斗は優しく微笑んだ。
「凄く綺麗だ。似合ってるぞ、雛里」
「あ、あわわ……あり、ありがとう、ごじゃいましゅ」
真っ赤に顔を茹で上がらせた彼女は、恥ずかしくてそのまま俯いた。
彼の隣には、藍色と淡い赤が綺麗に混ざる、藍橙の空のような美しい浴衣を着た雛里。絵柄は華。小さなモノや大きなモノが絶妙なバランスで成り立っていた。
開い
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