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夏祭りフェイズ  1
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は他ならぬ華琳である。平穏な治世では激務ばかりであるが、やはり楽しい事には目が無いのだ、華琳という少女は。
 前々から夏祭りの計画は軍師達と進めており、綿密に日取りも資金等々を計算し尽くしてこの日を迎えている。その仕事量はまさしくデスマーチの如きモノであったが、二日前には後日仕事を終わらせるのみとなっていた。
 ただ、浴衣の事を知っているのは華琳と桂花、朔夜に沙和達警備隊のモノだけである。
 何故か――――決まっている。
 悪戯が大好きな二人が……可愛い女の子が大好きな華琳と、びっくりさせる事に無駄に全力を尽くす秋斗が……皆にそれを使って悪戯をしないわけが無い。
 まあ、独り身の兵士達の心は犠牲になったが、その目論見は成功と言えよう。
 彼女達は今日の昼に華琳から浴衣を贈られた時、弾けんばかりの笑顔を見せたのだから。
 秋斗は目をゆっくりと開いた。楽しそうに、嬉しそうに、顔を綻ばせながら。そこに見えたのは……桃源郷だった。

「むぅ……動きにくい。いやしかし、華琳様に贈られたのだから……」

 春蘭の不機嫌な声。ほぼ黒な濃紺な色合いが良く似合う。その内はだけさせそうではあるが。

「中々涼しいモノだな。……姉者、華琳様の贈り物なのだから破いたらダメだぞ」

 秋蘭の声。灰色に水色の線。彼女の魅力をこれでもかと引き立たせていた。

「は、恥ずかしい……やはりわたしにこの色は似合わない」

 凪の照れた声。薄桃色というのはもちろん沙和の発案である。

「そんなことない! 凪ちゃんすっごく可愛いのー♪」

 沙和の抱きつきながらの声。薄い黄色というのが彼女の可愛さをより輝かせていた。

「せやで、凪。どっからどう見ても似合てるやん。な、ウチどや? 姐さん」

 くるりと回って真桜が言う。彼女に青という組み合わせは誰が予想出来たのか。

「よう似合うてるで。それより真桜。凪の腰ひもくるくるー、おだいかんさまーは祭り終わったら計画通りに、な」

 にやにやこそこそと返す霞。薄い緑と淡い灰色が混ざった彼女の浴衣は似合っているのだが……どことなく彼女が治世で神速を発揮する二人を思わせるのは秋斗が狙ったモノである。

「ふ、ふふ……おやめくださいませ華琳様……くるくるしても私は既にあなたに巻かれている身……この情愛の帯は解けるわけがありません……あっ、そんな所に手を入れてはいけません……」

 妄想全開で暴走する稟。淡い赤ではあるのだが、その内もっと濃い赤になりそうだとは、誰もがはらはらしている。

「おやおやー。稟ちゃんはもうこの服で妄想出来るようで。風は驚愕を禁じ得ないのですよー」

 ゆるゆると聞こえたのは風の声。爽やかな水色は彼女の金髪をより際立たせていた。稟の発言に驚いてる様子は無い。

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