その20
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ふ、と。
覚えのある温もりと香りを感じ、げんなりとした気持ちを感じながらサスケは覚醒した。
眉間に皺を寄せながら瞳を開ければ、闇の中でも見慣れた赤い色が映る。
同時に、至近距離から、安らかな寝息が微かに聞こえてきた。
訳もなく込み上げてくる苛立ちに、サスケは今日も今日とて怒鳴り声を上げた。
「ナルトっ!!てめえ、このウスラトンカチがっ!!俺の寝床に入ってくんなと言ってんだろーが!!!!」
夜も深い時間だろうが、そんな事はサスケの知った事ではない。
そもそも、ナルトを監督する保護者は火影だろう。
サスケが火影邸に拘束されてから、何故かナルトも火影邸に滞在しているのだが、それならそれでサスケの害にならぬよう、火影はナルトの手綱をしっかり握るべきだ。
大体、サスケを火影邸に拘束するのは、一族のあれこれが絡んでいるのだ。
サスケの精神安定に心砕き、気を配ろうとする努力があって然るべきだ。
憤りと共にそう感じたサスケだったが、次第にそう感じた事へ、ある苛立ちを覚え始める。
まさか、このウスラトンカチの存在が俺の慰めになると判断された訳じゃないよな?
そう思い付いてしまえば、知りたくも無かったナルト本来の姿も、生き物として慕わしく感じるような温もりも、全てが憎らしく思えた。
苛立ち紛れに即座に布団の中から勝手に潜り込んだナルトを蹴りだす。
そうして身を起こし、サスケは憤りに肩で息をした。
実は、サスケは自分が何に憤っているのか、実の所良く把握は出来ていない。
ただ、ナルトの存在を受け入れる事だけはしてはいけないと理解していた。
男として。
サスケの怒らせた肩が落ち、朱に染まった頬と呼吸が整った頃。
厚かましく睡眠を貪っていたナルトが覚醒の兆しを見せた。
「ん〜。んん〜?」
蹴られたからか、それとも心地良い寝床から追い出されたからか。
ナルトは不満そうに声を上げた。
そうしてむくり、と身を起こし、寝ぼけ眼でこしこしと目を擦る。
「さすけぇ?あさなの?」
ぽやぽやと寝ぼけた声で無防備にサスケに問いかけてくる幼い仕草に怒気が揺らぐ。
そして同時に殺意が沸く。
だが、その殺意は湧いた端から、サスケが知り得たナルトの存在そのものに中和されていく。
しかし、ここで、自分に負ける訳には、絶対いかない。
だが。
サスケが認めたくない事実を、ナルトは無意識に身体で突きつけてくる。
「さすけぇ?」
寝ぼけたナルトはサスケを探し求めて布団の端を叩き始めた。
その仕草に、ナルトの求める結果とその状態について、いやと言うほど優秀と称えられた頭ははじき出す。
その結果にサスケは思わず顔をひきつらせ、後退った。
だがしかし。
サスケの感覚ではのろのろと行動していた
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