アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
集う列候
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ことかえ?」
「まさか。そのような事になれば冬馬殿の長子を擁する水城の勝利は目に見えておる。我が提案するのは当主同士の決闘よ」
「「…………っ??」」
確かに、昔は当主もしくは代表者同士の決闘により結論を出した事もあるらしい。しかし、流血騒ぎに敏感になった現代でそれを行うのは問題がある。
何より、水城がそれを受けるのは当主を失うリスクを負うことになり、勢力的には夜門に劣る水城を潰す事になる。
「おい、爺さん」
「黙っとれ。当主は蓮じゃ」
「しかし、お爺様……!」
思わず俺と沙良が先代の当主である冬馬に止めるように言うが、それはばっさりと斬られる。
隠居すれば方針に口を出さないという祖父のやり方をどうこう言うつもりは無いが、それでも蓮兄はまだ若い。
夜門の当主は恐らく50前半で体力こそ劣るだろうが、技量と経験が圧倒的に違う。蓮兄では恐らく初撃で殺られる。
この場にいる者で夜門の当主と対峙し、まともに打ち合えるのは爺さん、親父、華苑院の婆さん、九条当主ぐらいだろう。
俺がこうして考察するまでも無い。この提案が成された瞬間、夜門の当主から殺気ーーー恐らくは舐められたと思ってのものーーーが放たれ、水城以外の一部の席からはそれぞれ種類が違えど張り詰めた何かを感じるようになった。
それが最高潮に達するか否かの時、華苑院の婆さんと友紀奈が手を掲げ、制止した。
「そこまでじゃ。休憩を挟んだばかりと言うのにまだ頭が冷えておらんようだの。時も限られておる。本日はここまで、明日までに全て決定しようぞ」
「皇が命じます。双方一晩よく考え、明日は建設的な議論になるよう備えなさい」
皇まで口を出して来たのなら夜門と言えど黙るしか無い。……当の皇が掲げた手が微妙に震えて無かったらもっと格好がついただろうが。
そうしてこの日はお開きとなった。
予定外に早く息苦しい会議が終わったので、俺と木綿季は私服に着替えると屋敷の門前に出て来ていた。俺は白地のTシャツに黒のロングコートという無個性な服装。木綿季は灰色のセーターに白い外套を羽織り、革のブーツを履いている。
辺境と言えどここは京都。少し時間をかければ賑やかな観光地へと繰り出せる位置なのだ。気分転換にはもってこいである。
しかし、問題は……
「お、お待たせしました!」
「……いえ」
この超絶箱入り娘(by親父)と名高い皇の姫君も一緒という事だ。外出とあって彼女もまたカジュアルな服装をしていた。黒のショルダーシャツと腕を覆う同色のアームウォーマーにピンクのスカート、靴は白地に脛辺りに装飾だと思われるベルトが付いており、本体にはピンクのラインが入っている。髪は背中辺りをゴムでまと
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