第三十五話 大反撃
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からは同じ一年のやんややんやの大喝采が飛ぶ。
「良いぞ、茉莉乃ーッ!」
「茉莉乃、カッコ良いよーっ!」
「……切り替えろ、あんなの打たれるなんて想定にない。」
大友がマウンドにすかさず駆け寄った。見せ球のボール球を強引に打たれるのはまさに想定外。これはどうしようもない一点だ。ベストを尽くしたのに取られた一点、ミスでも何でもない。
「分かってます。……分かってますよ」
しかしこの一点は、飛鳥に大きなダメージを与えた。気合いを入れて臨んだこのピンチで、アンラッキーな形であっさり点を取られてしまった、このショックは大きい。
そもそもこの回の最初のデッドボールからして、飛鳥は納得していない。自分の気持ちとは反対に、どんどん点が入っていく事に苛立ちと焦りが募る。
カーン!
カキーン!
そのダメージは、モロにピッチングに影響した。四番の権城、五番の紗理奈に連打を許し、更に一点を失う。メンタルが南十字学園の勢いに当てられてしまって、ボールが甘く入った。
4-8となって、なおも一死一、二塁。
ここで帝東は守備のタイムをとった。
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「今のサザンクロスと初回のサザンクロスを同じチームだと思うなってさ。」
ベンチからの伝令が前島監督の言葉を伝える。キョトンとした内野陣に、伝令役が補足説明した。
「いや、だからさ、多分だけど、初回八点とって、サザンクロスは雑魚だって、俺らみんな思ったじゃん?でも、今は四点取られてる。雑魚に四点取られたって考えると、焦っちまうだろ?俺ら何してんだって。それがダメなんだって。対等の勝負をしてると思えば、四点取られた事よりも、四点リードしてる事の方が目立つだろ?そう考えろって事なんだよ、多分」
「……垣内、もうお前が監督しろよ」
大友のツッコミに、内野陣に笑いが起きた。
「……ま、東東京の準決なんだ。すんなり終わるわけ無いよな。みんな締め直せよ。とにかく勝ちゃあ良いんだ。とにかく。」
「オーケッ!」
内野陣がそれぞれのポジションに散っていく。マウンドで大きく息をつく飛鳥は、少し救われた気がしていた。
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<6番サード本田くん>
4-8となって、なおも一死一、二塁のチャンス。打席には悩める大砲・本田譲二。
「この回一気ー!」
「打てよー本田先輩ー!」
勢いに乗りつつある南十字学園打線の中で、譲二の表情だけは冴えない。
(あー、権城は何て言ってたっけな?……右方向に引っ張る、だっけ?)
先ほどの打席の後の権城の指導を思い起こすが、どうにもしっくり来ない。
これまで圧倒的パワーだけでやってきた分だけ、一
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