アカデミー編
赤い鞘
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
カトナの刀には二つの鞘がある。
一つは青い鞘。
これに刀を入れた状態でチャクラを籠め、それをコントロールすると、刀の形状が変わるのだ。
ただ同時に特殊な術式が刻まれているので、それがカトナにとっては明確な弱点となる。短刀の時は有利になるのだが、大太刀の時にはものすごく不利になる。
もう一つは赤い鞘。
こちらに入れた状態でチャクラをある程度籠めると、カトナ以外のチャクラに反応してとりもちのようにくっつく。といっても、接着したところで何かを吸収するわけではない。
カトナが赤い鞘にチャクラをある程度込めた状態で吸い付けば、その籠められたチャクラの分、相手の生命エネルギーを吸収し、カトナに還元する能力を持つには持つ。
……のだが、大変残念なことに、カトナのチャクラはそんなに多くないので、この赤い鞘の性能は殆ど使いこなせない。
また、こちらにも発動条件が不明な術式が描かれている。ただ、こちらが発動されたことはないので効果は不明だ。
そしてこのふたつの鞘には共通点がある。
カトナのチャクラでなければ反応しないところだ。
実験の一環として、サスケ、ネジにもチャクラを流してもらったが、鞘は全く反応しなかった。
ナルトのチャクラは双子のカトナと類似点が多かったから、少し反応はしたが、それだけだった。
最終的にカトナからサスケにチャクラを渡して実験もしてみたが、反応は見られなかった。
カトナのチャクラの質をまねることが出来る。あるいはカトナのチャクラと同調できるタイプの人間がそばにはいれば、実験結果も変わったかもしれないが、まぁとりあえず、カトナ以外のチャクラでは反応しないとみていいだろう。
「完全に、お前の為に作られたオーダーメイドの様だな」
ネジはそう言っていたが、一体誰が彼女の為に刀を作ってくれるのだとは、カトナ自身不思議に思った。
カトナの為に作ろうなんて、思うはずないだろう。カトナの為に贈ろうなんて、思う人がいるわけがないのに。
いたとすればイタチやサスケくらいだが、彼らと出会った時期とカトナがこの刀をもらった時期がそぐわないので違うだろう。三代目も、こんな贈り物をするはずがない。
間違えて贈られたのではないかと思って。けれど、カトナのチャクラに適応するようにこの刀が作られているわけで。
この刀はカトナのために作られたもので、間違いないのだ。
その事実を直視するたびに嬉しくなって、けれど同時にカトナはその事実を目の当たりにするたびに、少しだけ苛まれる。
自分の胸がなぜ、こんなにも痛くなるのかを彼女は分かっていないが、それは彼女が知っているうえで知らないふりをしているからだ。
彼女は、知っている。
この刀の真の形態と。そしてそれが、一体、何を意味する
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ