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雲は遠くて
17章 世田谷区たまがわ花火大会 (7)
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永遠なんだろう、きっと。
こういう、深遠(しんえん)なことは、
論理的に考えてたりするのは、バカな話さ。
詩的(してき)に、感覚的(かんかくてき)に、
解決する問題さ。
空があるように、地面があるように。
夜があるように、朝が来るように。
だから、一瞬もあるし、永遠もあるってね。
愛美(まなみ)ちゃんの、美しい歌声を、
何度も、永遠のように、
再現できて、楽しめるなんていうのは、
よく考えたら、
奇跡的(きせき)なことなんじゃないかな!?
おれ、そんなことに、すっげえ、幸福、感じるよ。
あっはっはは」

森川良(もりかわりょう)は、そういいながら、
やさしい声で、わらった。
そして、白石愛美(しらいしまなみ)の手を、(にぎ)った。

「ありがとう。(りょう)ちゃん。わたし、いまの言葉、
とても、うれしい・・・」

言葉(ことば)()まった、
白石愛美(しらいしまなみ)(ほほ)に、
きれいな、(なみだ)が、ひかった。

夜の7時。
グランドオープン・・・の、開始だった。

ドーン、ドーン、ドーン!
バチ、バチ、バチ!

花火の、オープニングを(かざ)る、
連発仕掛(れんぱつしかけ)花火の、
スター・マインが打ち上がった。

何十発もの、花火玉(はなびだま)が、
テンポもよく、つぎつぎと、
打ち上げられて、夜空(よぞら)に、色あざやかに、
花が()いては、消えていく。

夜の7時55分。
グランド・フィナーレ(最後の幕)の、
クライマックス、最高潮(さいこうちょう)

都内(とない)でも、屈指(くっし)規模(きぼ)(ほこ)る、
8号の花火玉(はなびだま)の、100連発が、
次々と、打ち上げられる。

(とき)が、()まったように、夜空(よぞら)が、
大輪(たいりん)の花たちで、明るく()まる。

連発仕掛(れんぱつしかけ)花火の、
スターマインが、打ち上がって、
金色や銀色に、キラキラと、光輝(ひかりかがや)く。

(たき)(なが)れのような、空中(くうちゅう)の、
ナイアガラが、
夜空(よぞら)に、出現(しゅつげん)する。

夜の8時には、およそ、6500発の花火が、すべて全部、
打ち上げられて、全プログラムは終了した。

≪つづく≫ 
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