魔神
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
初めてギルドの為に何か出来るかもしれない可能性があるのなら。
(ただ立ち上がるだけでいい。あとは……あの魔法を、信じる)
「!」
キャトルが目を見開いた。
息を呑む音が聞こえたのか、ジェメリィが振り返る。
「どうしたの?キャトル」
「……この空間のエーテルナノが急速に減っている…引き寄せられてる?一方に……」
呟き、気づく。
首を傾げジェメリィもキャトルが見る先に目を向け―――――目を、見開いた。
そこに、倒れるアランの姿はない。
「……」
――――――アランは、立っていた。
小さく俯いて、2人の方を見ようともしていない。
僅かに開いた口が、何かを吸い込んでいる。
「……まさか!」
ジェメリィが叫んだ。
同郷であり、かつての彼を知るからこそ気づける。
慌ててキャトルに回避するよう呼びかけようと振り返るが―――――遅い。
既にアランは、頬を大きく膨らませていた。
そして―――――放つ。
「魔神の―――――――怒号ォォオオオ!」
放たれたのは、黒い光の怒号。
それは2人を呑み込み、塔の窓を割る。
光が消えた時、キャトルとジェメリィは傷を負い立っていた。
が、その表情には驚きが宿っている。
「ウソでしょ……何で…」
ジェメリィが呟いた。
キャトルがゴクリと唾を呑み込む。
「これが…奴の隠して来た魔法……“魔の滅神魔法”…」
灰色の前髪の間から、桃色の目が覗く。
ふぅ、と息を吐いたアランの口元には笑みが浮かび、こちらを真っ直ぐに見ていた。
その目を真っ直ぐに見つめ、キャトルは右手を握りしめる。
(これが神殺し……これが……)
――――――――魔の滅神魔導士。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ