魔神
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(ウェンディとココロに言ったしね……“絶対助ける”って!)
外で頑張っているであろう2人の姿を思い出し、アランは拳を握りしめる。
バチバチと紫電の音を耳に入れながら、力強く床を蹴った。
「大火円盤!」
炎で構成された鎖が、アルカの両手に握られる。
その鎖の先には刃の付いた炎の円盤。
ぐるっと振り回される円盤をエストは難なく避けると、杖をアルカに向けた。
「落雷」
短く呟く。
頭上で何やらゴロゴロと音がするのに気づいたアルカは後方に跳んだ。
アルカが着地すると同時に、先ほどまでいた場所に雷が落ち、床を砕く。
「相変わらず便利なモンだ、夢を描く者」
「覚えていたのかい?」
意外そうな表情でエストは言った。
息子であるアルカと最後に会ったのは14年も前の事。彼の前で魔法を使う事は多くなかったし、話す事も特になかったはずだ。
その表情からエストの言いたい事を察したのだろう。アルカは溜息をつく。
「知らねーよ。ただ、昔姉貴が“大人になったらこの魔法を覚えるんだ”ってよく言ってたから、そっから推測しただけだ」
「……そうか」
その答えを聞いたエストは少し俯いた。
覚えていてくれた訳じゃない―――――そんなの当然といえば当然の事なのに、一瞬にして叩き落とされたような気がする。
覚えてた、と言ってくれることを心のどこかで期待していた事に気づき、首を横に振る。
(…いけない、これ以上は。目の前にいるのは敵だ……)
厄介だった。
殴ってもそれは幻で、後ろからの奇襲に備えれば死角から攻撃される。
かといってジェメリィ1人を相手にしている訳にはいかない。気を抜けばキャトルの重い一撃が直撃してしまうのだから。
「疾風迅雷!」
「幻術弾丸!」
アランの拳をヒラリと避け、両手からオレンジ色の弾丸を放つ。
それを見たアランは僅かに表情を歪めた。
ジェメリィの放つ弾丸は当然本物だが、彼女にかかれば本物を偽物に変えたり偽物を本物に変えたり出来る。
厄介だな、と心の中で呟くと、アランは弾丸を避けるのを止め床を蹴り、ジェメリィ目掛けて駆けていく。
「紫電轟雷、疾風迅雷、魔炎爆火……全身付与、弾丸疾走!」
右腕に紫電、左腕に風、足に炎を纏い、駆ける。
両腕を掠める弾丸は纏うそれによって消され、足を狙えば燃やされていく。
顔を狙う弾丸は腕を薙ぎ払うように振るう事で払い、体はもう片方の腕で防ぐ。
「三種混合…」
右手と左手を合わせる。
短く息を吐きゆっくりと瞬きをする。
左腕の風が右腕の紫電に引き寄せられる
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