魔神
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てキミ、アラン?うっわー!久しぶりだねー!相変わらずダメそうだね!」
声の主は、無邪気だった。
それが何よりも恐ろしかった。
無邪気であるが故に人を傷つけ追い詰める、聞いただけで逃げ出したくなってしまう声。
彼の過去を知る存在。そして、大きく関わっていた者。
その人物の名を、無意識に、震える声でアランは呟いていた。
「……ジェメリィ」
「ここだ」
廊下の突き当たりで、パラゴーネが呟き足を止めた。
つられるように足を止めると、目の前には大きめの扉がある。
「出られるんだよね?ここから……」
「肯定する」
「よーし!それじゃあ出よう!」
ルーシィに問われたパラゴーネはこくりと頷いた。
それを見たルーは扉に近づき、ドアノブに手を伸ばす。
ルーの手が近づいたと同時にドアノブに紫の何かが淡く浮かんだのに、グレイは気づいた。
制止をかけようとするが、遅い。
「うわっ!?」
左手が触れた瞬間、パチッと音が響いた。
静電気のような痛みに思わず手を引っ込める。
手を引っ込めるのとほぼ同時に扉に紫の文字が走り、壁を作り出す。
「これは…」
「術式だな。シグリット様には悉皆看破されていたか」
“全て見抜かれていたか”と、パラゴーネは苦々しい表情で呟く。
扉に現れた術式に書かれるルールを、ルーシィが読み上げた。
「“塔の中の十二宮が全員倒れるまで、この扉を開く事を禁ずる”……だって」
「つまり、まだ戦ってる奴がいるって事か」
「定めし金牛宮…双子宮も黙然しているとは思考不可能だ。磨羯宮と処女宮は単体での勇力は脆弱だから定めし敗北しているだろう。十二宮、という事はリーダーは含まれていない」
「?」
パラゴーネの複雑な口調が解らず、首を傾げるルー。
解りやすく言うと、“恐らく金牛宮…双子宮も黙っているとは考えられないな。磨羯宮と処女宮は単体での力は弱いからおそらく負けただろう。十二宮、という事はリーダーは含まれていない”だ。
「とりあえず待たなきゃいけないみたいね」
そう言って肩を竦めると、ルーシィは扉に目を向けた。
オレンジ色のショートカットに、動きやすそうで活発な服装。
ニコニコと笑みを浮かべる少女の名は、“双子宮”ジェメリィ。
かつて楽園の塔にてティアと対峙し、一撃与える事さえ出来ずに敗れた幻術使いだ。
「何でここに…」
「だってボク、血塗れの欲望の所属だもん」
「!」
小刻みに震えるアラン。
そんな彼を興味深そうに眺めると、ジェメリィはアランの横を通り過ぎてキャトルと並んだ。
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