魔神
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ながら、右へ左へ避けていく。
「紫電轟雷!」
叫び、拳に紫電を纏う。
避けて着地したと同時に床を蹴って駆け出し、その勢いのまま拳を振るう。
ガキィン!と音を立てて右拳が剣の平面に命中し、左拳は籠手へと変えた手にパシッと掴まれた。
「なかなかの威力だが、動きが読めるぞ」
「本当ですか?」
呟いて、微笑む。
ニヤリと、と言うには柔和だが、ニコリと、と言うには黒い。
その笑みの意味が解らず眉を顰めるキャトルに、アランは言った。
「肉弾戦は拳だけじゃないって事ですよ!疾風……迅雷っ!」
「うぐっ!」
風を纏った右足が放つ蹴り。
それはキャトルの腹辺りに直撃し、風の勢いでキャトルは吹き飛ばされた。
右足を下ろしたアランは吹き飛んで行った方向に目を向け、溜息と共に呟く。
「やっぱり、そう簡単には倒れてくれない……かっ!」
飛び出して来たキャトルの拳をギリギリで避け、隙をついて拳を叩き込む。
キャトルの表情が僅かに歪んだと思えば足払いをかけられ、アランはすっ転んだ。
今だ!と言わんばかりに振り下ろされた拳を床を転がって回避し、起き上がると同時に脇腹に蹴りを入れる。
「威力増幅!」
「魔炎爆火!」
威力が増幅された一撃を避けるべく、アランは足に炎を纏う。
火力を生かし後ろへと跳び、着地と同時に炎を消した。
汗で額に張り付いた灰色の髪に触れながら、アランは呟く。
「この分なら、“あの魔法”を使わなくても問題なさそうですね」
「…かもしれないな」
クス、とキャトルが笑う。
ただの笑みであるハズのそれに嫌な予感を覚えたアランは思わず身構えた。
そしてその“嫌な予感”は―――――的中する。
「私が1人でお前の相手をしたら、だが」
その言葉は、まるでアランの相手はキャトル1人ではないかのようで。
思わず辺りを見回すが、誰もいない。
もしかしたら相手の心理作戦かもしれない、と思い始めた―――その時だった。
「幻術剣舞!」
オレンジ色の剣が、背後から飛んだ。
咄嗟に避けると、剣の軌道が変わる。
「壊れろ!」
避けても無駄だと悟ったアランは、雷を纏った拳で剣を殴りつける。
が、剣は拳が直撃する前にボフンと煙のように消えた。
驚いたように目を見開くアランの背後から、声が響く。
「マスターもリーダーも酷いよね!この間頑張ったから、って今回参加させてくれないなんて!退屈だったから出てきちゃった!」
甲高い、無邪気な声。
それを聞いたアランの体が、びくっと震えた。
目を見開いたまま、振り返る。
「あれ?もしかし
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