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雲は遠くて
16章 地上200mの誕生パーティー (5)
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小川真央と、真央と急に親しくなった、今年、20歳の野口翼(つばさ)
そして、
MFC(ミュージック・ファン・クラブ)の副幹事長の、
2年生の、谷村将也(たにむらしょうや)たちだった。

「せっかくの、きれいな夜景なのよ。
みんなで、ゆっくりと、(なが)めましょうよ!」

そういって、美樹たちは、岡昇や、森川純や川口信也たちを、
テーブルから、立ち上がらせた。

陽斗(はると)さん、お元気ですか?
また、8月24日(土)の、サザンオールスターズ・(まつ)り、
は、よろしくお願いします」
と森川純はいうと、わらった。

「こちらこそ、よろしくお願いします。おかげさまで、元気ですよ。
このお店、すばらしいですね。
きょうは、お招きいただいてありがとうございます」

と、松下陽斗は、丁重(ていちょう)に、純や信也に、挨拶をした。

森川純は、菊山香織と、なかよく、
川口信也は、大沢詩織と、なかよく、
清原美樹は、松下陽斗と、なかよく、
それぞれ、みんなは、夜景に見いっている。

水島麻衣には、どうやら、谷村将也(たにむらしょうや)が、
熱をあげているらしかった。
このふたりも、いちおう、()りそうように、夜景を(なが)めている。

しかし、水島麻衣には、谷村よりも、ひとりで、夜景を眺めている、
幹事長の矢野拓海(やのたくみ)のほうが、
気になっている様子(ようす)である。

岡昇も、平沢奈美と、いちおう、なかよく、カップルのように、夜景を見つめている。

小川真央も、野口翼(つばさ)と、なかよさそうに、夜景を楽しんでいる。

大パノラマが、見わたすかぎり、ひろがる、
大きな窓のある、特別・展望・シートに、(すわ)って、みんなは、くつろいだ。

見下(みお)ろす、あたり一帯(いったい)には、クルマのヘッド・ライトや、
ネオンやビルの、
(まど)()かりなどが、静かに、きらめく、夜景が、ひろがっていた。

そんな夜景は、まるで、恋人たちの、心やすらかな、ひとときを、
祝福しているかのようだった。

午後の11時ころ。
(だれ)もいなくなった、イタリアン・レストラン・ボーノ(Buono)の、
窓際(まどぎわ)のテーブルに、
一輪(いちりん)(しろ)薔薇(ばら)が、()(わす)れてあった。

≪つづく≫ 
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