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雲は遠くて
15章 カフェ・ド・フローラ (2)
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、ほぼ同じですけどね。
あっはっは。

多くの芸術家に愛されたそのカフェの常連(じょうれん)には、
画家のピカソとか、哲学者のサルトルとか、
ボーヴォワールとかが、いたそうです。

芸術や文化や政治とか、何でも気軽に語りあえるような・・・、
恋人たちが、愛を語りあうのは、もちろんですけどね、はっはっ。

そんな、コミュニケーション(心のふれ合い)の、
社交場(しゃこうじょう)の、カフェを、モリカワでは、
日本中に展開したいんですよ」

森川純は、矢野拓海と、右隣(みぎどなり)(すわ)っている、
菊山香織(きくやまかおり)に、
言葉を確かめながら、力説すると、わらった。
そして、森川は、目を細めて、生ビールに、おいしそうに、口をつけた。

「へーえ、森川さんの会社って、革命的なことをやっている感じですよね。
売上金(うりあげきん)の1部を、寄付したり、チャリティー活動も、
いつも、やっているし」と、矢野拓海。

「わたしも、感動しちゃうわ。チャリティーとか、
いまの純さんの、お話に・・・」と菊山香織。

「会社って、もうけるばかりでは、存続はできないですよ。
(とみ)があれば、
それは再分配(さいぶんぱい)しなければいけませんよ。はっはっは。
それと、
おれらのやっていることは、バンド活動と同じようなものですよ。
みんなの力を、結集(けっしゅう)すれば、
ビートルズのように、世界を変えられると思うんだ。
ある程度だろうけどね・・・。
何もしないでいるよりは、まだ、ましさ・・・」

「ねえ、香織ちゃん・・・。
このテーブルクロスはね。ちょっと、普通と違うんだよ。
コットン(木綿・もめん)で、
(あたた)かみもあるけど、
耐久性(たいきゅうせい)抜群(ばつぐん)なんだ。
それに、
特殊加工がしてあって、
どんなものを、こぼしても、シミがつかないんだ。

クロスには、絶対に、()みこまない、ってわけなんですよ。
コーヒーでも、ビールでも、何でも・・・」

森川純は、香織の耳もと近くで、親しそうに、そう、ささやいた。

「ほんと!すごすぎ!デザインも、おしゃれで、すてきだな。
薄紫(ううすむらさき)というのかしら。
スミレ色の、色もすてき!光沢(こうたく)(うつ)しいわ」

森川純の、そんな親しげな、様子(ようす)に、
菊山香織(きくやまかおり)は、
微妙な、胸の高鳴(たかな)りのを感じながら、
そういって、ほほえんだ。

≪つづく≫ 
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