憎悪との対峙
31 暗闇の騎士
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ターダストは更に美緒に怒鳴りつけ、今度は腹部に膝蹴りを加えた。
もはや自分でも抑えられない程に怒りの感情が湧き上がり、それをサンドバッグにぶつけているような感覚だった。
しかし我に返り、近くのベッドで死んだように眠っているメリーの方を見た。
「この娘に何をした!?」
「フッ...この娘がアンタの仲間だってことくらい分かってた...だからアンタと同じようにダークチップ漬けにしてやったわ...」
「!?」
「1時間もすれば...人間としての自我が保てなくなり...ただ暴れるだけの怪物になる...ザマァ見なさい!!」
「キッサマァァ...!」
スターダストの拳に籠もる力も徐々に強まっていく。
シンクロによって美緒の感情が脳に流れ込み、言葉に何の嘘偽りも無いことを感じ取れるためになおさら怒りは強まる。
しかしスターダスト=彩斗は何故かその美緒の感情に違和感を覚えた。
「ん?」
美緒の感情自体は何らおかしくはないし、この手の人格にありがちな思考パターン、しかしおかしいのは人格そのものだ。
まるでマジックペンで真っ黒に塗りつぶしたようなものを感じる。
覚えがある、それもつい最近同じような状態になったことがある。
その不思議な感覚に不意に胸ぐらを掴む手の力が僅かに抜けた。
だがその隙に美緒はとうとう後戻りの出来ないことを口にした。
「あぁ...人間じゃなくてネットナビ?アンタ同様に日向の道を歩けないようなどっちつかずの人間なんでしょう!?」
「...それ以上言ったら二度と口が開けなくなるぞ...」
「ぐっ...」
「自分でも味わってみるといい!!この娘と...ミヤの受けている苦しみを!!!」
「!?」
Rebuilding...Ok
『リビルト!エンドレス・ナイトメア!!』
スターダストは腰のカードホルダーからハートレスから受け取った中の1つのカードを左腕のトランサーに読み込ませた。
すると瞬時に紫色の煙が美緒を覆った。
「!?キャァァァァ!!!アァァァァァ!!!!」
それはトラッシュのメモリーが記録したナイトメア・テイピアとの戦いのデータから再構成された『エンドレス・ナイトメア』のシミュレーションデータだった。
当然、本物のように人格を破壊してしまう程の力は無い。
効果もエンドレス=終わりのないと謳いながら数十秒から数分程度の体験版といったところだ。
しかしスターダスト=彩斗の味わった感覚を数分の1だけでも体験するには十分過ぎる威力を持つ禁断のカードだった。
美緒は今までの若干の余裕を持った顔を失い、恐怖で顔が歪み、鼓膜が破れそうな程の悲鳴を上げながら苦しみ始めた。
美緒に襲い掛かったのは、自分が死にかかっているというのに見舞いにも現れない冷酷な母を呪う娘、ミヤの
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