憎悪との対峙
31 暗闇の騎士
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倒せるような。
そう考えるだけで胸のあたりがムズムズして押しつぶされるような感覚に襲われた。
足が竦んだ。
見えない敵、微かに感じる気配、そして真っ暗闇は恐怖という攻撃を与えてくる。
「はぁ...くそ...出てこいよ!!!」
大声で教室中に響く程の大声で叫ぶ。
恐怖を紛らわすため、掻き消すための苦肉の策だ。
しかし恐怖をまともに受けた段階で勝ち目など無かったのだ。
彼らは武器の扱いや体へのトレーニングは受けているが、心へのトレーニングは全く受けていない素人だ。
もちろん軍役でジャングルの密林で1ヶ月程度過ごしたことはある。
しかしただ見張っているだけ、イレギュラーな事態など起こらず、最新の武器を持っている自分たちは無敵だと思っていた。
毎晩のように酒を浴びるように飲み、捕虜にした女たちを輪姦する。
それが当たり前だった。
しかし今、自分たちが直面しているのは本物の「戦場の夜」だ。
いつ敵に襲われるか分からない恐怖といつでもベストの能力が発揮できる程よい緊張感。
そんなものを知らない彼らには既に負け以外の道は残されていなかった。
「!?ぐぅ!!」
不意に腹部に激痛が走る。
スターダストが気配を殺して近づき、腹部に強烈な一撃を加えたのだ。
しかし攻撃は終わらない。
続いて肩が振り下ろした肘によって砕かれ持っていたマシンガンは手から落ちる。
「そこかぁぁ!!!」
1人が襲われていることに気づいたもう1人の傭兵は音の方向へ銃を向ける。
だがその銃も呆気なく遠心力のついたキックが手のひらに命中し弾き飛ばされ、丸腰同然の人間へと変えられてしまう。
「ぐぁぁ!!」
「ガァァァ!!!」
「なに!?」
美緒は驚きのあまり手探りで壁の方へ走った。
聞こえてきたのは傭兵たちの悲鳴、そして鈍い何かが折れる音だ。
「はぁ...まさか」
悲鳴の後には何も聞こえない。
先程までは威勢のいい傭兵2人の声や気配があったというのに、まさに「無」という言葉を体現した状態だ。
真っ暗で何も見えないし聞こえない。
しかしその世界の中でも1つだけ確かなことがある。
それは既に傭兵2人は気配も物音も発することのない程のダメージを受けているということだ。
強烈すぎる痛みは声を発することすらも許さない。
もしくは既に息がないかのどちらかだ。
美緒の背中に悪寒が走る。
しかし自分でもおかしい程に頭は冷静だった。
「出てきなさいよ...返り討ちにしてあげるわ...」
報告によればスターダストは安食=ナイトメア・テイピアのエンドレス・ナイトメアを受けた。
しかし今ここに現れたということは、既にスターダストにはダークチップは効かない。
何らかの免疫、医学的に言うところのワクチンのよ
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