一話
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ようになるの。」
「何で?」
「何で男子バスケ部は負けても何もないのかってこと?それはね、男子バスケ部がさ去年度最後の地区大会で優勝したんだ。それがきっかけで顧問も部員も燃えちゃってさ。それをネタにして、スポーツにも力を入れている学校であることをもっとアピールすれば受験希望者、編入希望者も増えるだろう、とかなんとか教頭辺りに汚く売り込んで、気がついたらもうこっちの意見なんかほとんど聞いてもらえないような状態に追いやられちゃってたんだから。問答無用で女バスは『活動内容不十分につき許可取り消し』にされるとこだった。…………関係ないじゃない、実績があるかどうかなんて。そんなのあの子達の場所を奪う理由にはならない。」
「………………。」
蛭魔は組んだ足を机の上に乗せながら黙って聞いていた。
「ね、力を貸してよ。あの子達の場所を守ってあげてよ。」
真面目に蛭魔の目を見て美星はそう言った。
蛭魔も美星の目を真っ直ぐに見つめ返してこう言った。
「だが断る。」
「何でだよこんのゴミ虫のうんこ野郎!」
一瞬で凛とした表情を崩して口汚い言葉と共に何十年も昔の漫才の教科書にでも載っていそうなテンプレートど真ん中のツッコミ芸を披露した。
「面倒くさ。女バスの事情とか知るかよ。」
「心にこうグサッて来なかったの!?そもそも蛭魔さっき話したらやるって言ったじゃん!」
「やるとは言った覚えはないな。下らね、じゃあな。」
蛭魔はさっと席を立って出ていった。
後ろでかん高い罵声か聞こえるが、ポケットに手を突っ込んだまま気にもとめず店を出ていった。
ファミレスに残された美星はぶつけようのない怒りを覚えていた。
「そりゃ確かに頼んだ私側からしたら文句言うのはどうかと思うよ。でもさ……」
ぐぬぬと唸って。
「もうちょっと真剣に考えてくれてもよかったじゃん!」
両手でバンバンと机を叩いて大声で吠えた。
そのせいで彼女は周りの人からは奇妙な目で見られている。
「くっ、こうなったら我が甥っ子に頼むしかないのかな~。」
美星には長谷川昴という甥っ子がいる。
幼い頃からバスケをやっていて、中学時代には全県のベストメンバーに選ばれた程だ。しかしその長谷川昴が通っている高校は、蛭魔妖一が通っている学校と同じで七芝高校なのだ。こないだ男子バスケットボール部が例の事件を起こしたせいで現在昴は多少なりとも気が滅入っている可能性があったので、美星としてはあまり刺激しないでおきたかった。
だから蛭魔に頼んだのだ。
もしあの事件がなかったら、蛭魔妖一がいなかったら美星は昴にこの事を頼んでいただろう。
「おねー
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