一話
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いる見星に尋ねた。
「頼み事があるんだよね。」
「頼み事だぁ?」
蛭魔にしたら意外だった。
美星という人物が頼み事を自分にしてくるということに。
「…………言ってみろ、何だ。」
蛭魔は訝しげに水を一口飲んだ。
「えっとねー。あのさ、実は私、ちょい前に女バスの顧問になっちゃったんだ。成り行きで。」
「女バスってのは女子バスケットボールのことか?」
「そ。新設で他になり手がなかったから、やっと初心者マークが取れたばかりの私に白羽の矢ってわけ。お陰で放課後まで仕事が出来ちゃって参った参った。」
そう言う割に、美星は妙に嬉しそうだった。
そして、その話を聞いて蛭魔は即座に思った疑問をぶつけた。
「お前、バスケ教えられんのか?」
「いんや。まったく。ルールすら危うい。部員の中で一人、もともとはバスケやってた経験者がいるから、今はほとんどその子に仕切らせていて、私はただのお目付け役状態だね。」
「なるほど。お前の言いたいことは分かった。」
蛭魔は呆れたように言った。
「おっ、話が早くて助かるね。『地獄の司令塔』こと蛭魔妖一君。あんたちょっくら、あいつらのコーチになってやっておくれよ。今のままじゃせっかくの部活なのに、あんま進展なくてなんかもったいないんだよね。だから、頼むわ。」
「死ね。」
「死ね!?その返答にビックリだわ!」
「何で俺がそんなことやる必要があんだよ?テメェで何とかしろ。」
「お願いだよ蛭魔~。このジャンボパフェ追加注文してもいいからさ~。」
美星は机にへばりつくようにしながらメニュー表を指差した。
「そんなクソ甘ぇもん食えるか。そもそも小学生の部活にそこまでする必要はねぇと思うがな。仲良しこよし勝手にやってりゃいいじゃねぇか。それとも、俺を頼るほどの切迫詰まった状態にでもおかれてんのかな?美星先生よ。」
机に突っ伏したまま美星が固まる。
時間にして5秒位たち、おもむろに美星は体を起こした。
「………………はぁ、さすが蛭魔。話すならあの子達に接触してから話すつもりだったんだけどな。見抜かれてるとは思わなんだ。」
「早くしろ、こちとらお前に付き合わされてる身だ。全部話したら少しは考えといてやる、その話。」
「本当に!?じゃ全部話すよ。実はさ、二週間後の日曜日にさ男子バスケットボール部との試合があるんだよね。
で、その試合ってのがさ体育館の使用権利を賭けた戦いなんだ。その試合で負けたら、女子バスケットボール部は廃部。だからその試合に勝てるようにしてほしいんだ。」
蛭魔はふーんと言った具合に聞いている。
「男子バスケ部は?」
「負けても何もなし。勝ったら週に三回しか出来なかった練習が毎日出来る
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