一話
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を打ち立てた天才だ。
麻黄十三中を一時的とはいえ、スポーツ強豪校にしたその手腕は計り知れない。
しかし余りにも自由にやり過ぎているように思えるのだが、学校側は その点を注意してこないあたり学校での 蛭魔妖一と言う男の存在は大きなものであることに疑いはないだろう。
「いつの雑誌読んでんだよ。そもそもお前がこんなもん買うとは思えねぇな。」
そのページを一瞬横目で見た後、蛭魔はそう言った。
「当たり前だ、俺が買うわけないだろ。そこのゴミ箱に入ってただけだ。前にこれ、少し見たことがあってな、懐かしく思って拾った。」
言いながら蛭魔とは少し離れた壁にもたれ掛かって座った。
「今年はお前が関わる部活が一つ減ったな。」
「男子バスケ部の事か?ケケッ、あんな大事起こしたんじゃ仕方ねぇな。」
蛭魔は紙に目線を向け、ペンをはしらせながら答えた。
「だがそれにしても厳し過ぎないか?不祥事をやらかしたのは部長だけなんだろ?それで部活全体が一年間の謹慎処分ってのはいささか疑問に思うな。」
「顧問の教師が元々やる気が無かった。転任してきて直ぐに無理矢理顧問をやらされたようでな。いくら弁護してもムダって訳だ。結果この有り様だ。」
「なるほどな。不憫なもんだな全く。だが蛭魔、お前なら何とかできたんじゃないのか?校長を含めた教師と学校の生徒全員の弱味を握っているお前なら。」
「俺が何でそんなことしなきゃなんねぇんだよ。俺はバスケ部でも何でもねぇ。まずあんなつまんねぇ理由で謹慎処分受ける部活が勝てるとは思えないからな。」
「ま、正論だな。」
「そもそも俺がこんなことをしてんのは面白れぇからだ。そんな事件が起こった後で直ぐに部活を再開してもモチベーションなんか上がるわけねぇだろ。そんなチームでやったってなんも面白くねぇな。」
「そのためにも一年という期間が必要な訳か。」
「時間が過ぎれば噂も落ち着くからな。完全に消えるのは無理だろうが。」
蛭魔がそう言った時に学校のチャイムが鳴った。
「さてと、戻るとするか。お前はどうする?蛭魔。」
「めんどくせぇ、パス。」
「何だかんだて授業に出てるお前にしては珍しいな。」
すると蛭魔は気だるそうにあくびをした後言った。
「今日中にこれやんなきゃ間に合わねぇ。だからパス。」
「まぁ、適当な所で切り上げろよ。じゃあな。」
やれやれと言った具合に首をふり、屋上を出ていった。
屋上には再び静寂が訪れ、風の吹く音だけがそこにあった。
夜遅く、蛭魔妖一は学校近くの道を歩いていた。周りには多くの家があり住宅街だと直ぐに分かる。彼が夜道を歩く姿は妙に様になっていた
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