第八章
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第八章
「えっ!?」
「今何て」
丈瑠も優子も今のお互いの行動に唖然となった。隆博と敦子はそうではなかったが。
「謝った!?」
「嘘でしょ」
驚く二人の横では。もう隆博と敦子が仲直りしていた。
「太宰でも志賀でもいいよね」
「そうね」
笑いながら話をしていた。二人共傘をさしたまま笑顔で話をしている。
「いいものはいいから」
「こだわっても何にもならないわね」
「そうだね」
隆博は今の敦子の言葉に頷いた。
「じゃあさ。僕も太宰読むし」
「私も志賀直哉読んでみるわ」
お互いが読んでみるというのである。
「走れメロスか富嶽百景か」
「和解か城の崎でも」
それぞれの代表作と言ってもいい作品である。
「お互い読んでみてね」
「いいものは皆で読みましょう」
こう話をするのだった。ところがその横では。
相変わらず丈瑠と優子が唖然とした顔になっていて。そのうえでぎこちなく話しはじめていた。
「あのさ、俺さ」
「私ね」
まるで付き合いはじめた時の様である。
「考えたんだけれどさ」
「別にいいんじゃないかしら」
こう言い合うのだった。
「テニス。行かないか」
「水泳でもね。別に」
もじもじとしながら言葉を出していく。
「そんなの大したことじゃないからな」
「別に何でも。二人なら」
「だからさ。テニス行く?」
「水泳行きましょう」
二人で顔を見合わせての言葉だった。
「優子の好きな場所にさ」
「丈瑠がやりたいことでいいわよ」
「って何か」
「こう言ってしまったら」
言い終わってから苦笑いになる二人だった。
「結局同じだよな」
「そうよね。両方がどっちでもいいって言ったら」
「じゃあ両方行くか」
「そうね」
そしてこうした結論に至った。
「そうしたらいいよな」
「ええ。両方してね」
「よし、じゃあそれでな」
「今度のデートはそれね」
二人もまた話が決まった。そのうえで仲直りすることができた。二組のカップルはこうして完全に仲直りすることができたのであった。
そしてその時。雨が。
「あっ、雨が」
「雪に」
雪に変わったのだった。白銀の雨が白く柔らかい雪に変わったのだ。
「今年はじめての雪だな」
「初雪ね」
二人で言い合う。
「なあ」
丈瑠がここで皆に言うのだった。
「折角四人一緒にいるからな」
「どうしたの?」
「四人でデートしないか?」
こう提案するのだった。
「四人でな。どうだ?」
「そうね」
最初にその提案に賛成したのは優子だった。
「折角の初雪だしね」
「じゃあそれでいいよな」
「放課後のデートっていうのも」
優子は微笑みながら言う。
「いいものよね」
「どうする?」
「そうね」
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