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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜Cross world〜
cross world:交差
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る。
「……さて、と」
ふっ、と《剣聖》と呼ばれる少年は寂しそうに儚く笑った。
正直に言えば、マイとカグラがいなくなってよかったと思っている。
彼女たちが足手まといというわけでもないのだが、やはり“違う”。
それはさておき、ソレイユは目の前の敵に目を向ける。真の強者とは言わないが、すくなくともそんじょそこらにはいない力を持ったものが目の前にいるのだ。心が躍って仕方がない――――はずなのだが、ソレイユの心はどこか冷め始めていた。
数センチ、もしくは数ミリ。
その感覚に耐え切れず、少年が目を細めた瞬間。
光が
音が
爆発した。
「まったく、どこまで飛ばされてるんですか」
「そんなこと言ったって、カグラとマイのステータスを比べられても困るんだよ」
気流の流れか小柄だったからか、予想よりもかなり遠くに吹っ飛ばされていた少女を回収した巫女装束の女性は、大気に円状の波紋を残す勢いで飛行していた。薄紫色の翅の先からは、飛行機雲のような筋状の白煙が大気中に延々と残像を残していく。
「でも、ソレイユ一人残してきて、ホントに大丈夫だったの?」
「……そうですね。彼の実力を疑うわけではありませんが、後悔をしていないと言う事は嘘になりますね」
軽く眼を伏せる女性。
背負う少女を支える腕に、少しの力が追加される。それが彼女の悔恨の念を表しているようで、少女は女性の首に回した腕に優しく力を込める。
「……大丈夫なんだよ、カグラ。だってソレイユは、レンに似てるもん」
「外見には、特に酷似点はありませんが」
もう、と。
軽く叱るように、さながら母親のように、少女は言う。
「見た目じゃないの。中身だよ」
「中身………」
その言葉に従って女性は脳裏に、先刻まで一緒にいたあの黒衣の少年を思い浮かべる。
正直、第一印象は物静かな少年だな、だった。
何を考えているか分からない。したがって、何をしようとするのかも計り知れない。不気味といったら不気味だった。
しかし、その考えは明確な《敵》が現れると同時に払拭された。
平凡な体格の身体から噴出した、圧倒的な剣気。
注意でも敵意でも悪意でも害意でも、殺意でもない。
ただ、眼前の強敵を斬り倒したいという、純粋な闘争心。
「……すみません、マイ。私には、やはり彼とレンが似ているとは思えません」
そう、彼とレンは違う。
彼の――――ソレイユの持つものが《闘争欲》だとすれば、レンの――――己が剣が主が溜め込んでいるのは単なる《破壊欲》だ。
似ているが、非なる欲。
己が主を悪く言うつもりは毛頭ない。毛頭ないが、しかし。
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