暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
コラボ
〜Cross world〜
cross world:交差
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可思議な不気味さがあった。
ぞあっ、と。
汗が蒸発するような。
血が逆流するような。
背筋に冷水をブッかけられたかのような感覚が全員を襲う。
一切の現実的、理論的な思考を無視し、本能や第六感とでもいうべき人間の根本的、根源的な部分が、現在の状況を全て無視してノドも枯れよと叫ぶ。
逃げろ、と。
「なん……だ………?」
「何か――――」
「来る……!」
時間にして、コンマ一秒あっただろうか。
最初に感じたのは風圧。
地下鉄で列車が来たときのような、圧倒的質量を持つ物体に空気がピストンのように押される事によって生じる、単純な空気の塊。それが何倍もの質量と速度を持って真正面から突進されたようなものなのだ。
なまじその正体が、実体のない空気であるために、生半可な抵抗行為など意味を成さない。
とっさにそれぞれの得物を地に突き刺し、懸命に踏みとどまったソレイユとカグラはいいだろう。しかし、凶悪な風圧に耐えうる
身体
(
タッパ
)
も、地に突き刺したら身体を支えうるアイテムになりえたはずの得物も持たなかった少女が一人いた。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
毛ほどの女子力も感じさせない叫び声は、ドップラー効果をともなって遥か遠くに流されていく。
というかもう、どうしようもなくマイだった。
「ま、マイ!?」
さすがに慌てたようにカグラが
闇妖精
(
インプ
)
特有のコウモリのような翅を、力を込めたように一羽ばたきした後、躊躇うように少年のほうを見た。
「こっちは大丈夫だから、早く行ってやれ」
「…………申し訳ありません」
律儀に腰を追った後、その巫女姿が煙るように掻き消えた。
首を巡らすと、先刻マイが吹き飛んでいった方向の遥か彼方に、疾駆する紅点が輝く恒星のように一つだけあった。
やるな、と胸中で呟いた後、涼やかな音を伴って地に刺さったニ本の愛剣を数度振るい、刀身にこびりついたコケや土を払う。
ふぅ、と。
一度だけ息を吐き、そして吸う。
思考を、レールを切り替えるように仕切りなおす。
ケジメをつける。
両方の腕を垂らす。
素人から見れば隙だらけと見えるかもしれないが、これがソレイユの構えである。
無形の位。
一説では、古流の奥義と言えるくらい習得が困難な技の一つである。
前後左右、あらゆる角度からの攻撃に対応できる構えなど存在しない。自然体になり、自分の思ったまま、感じたままに剣を振れるのがこの構えの特徴である。
流派によって磨いてきた技は異なるが、すべての流派に適応される技もある。それは、技を捨てることも、また技の一つである、ということであ
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