9章 恋する季節 (4)
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きもそうなのかな。
なにも、死ぬことはないだろうけど。男が、2人もそろって。
そうか、三角関係をテーマにする夏目漱石って、
現代社会っていうか、資本主義っていうか、
われわれにある普遍的なエゴイズムの縮図というか、
構図をテーマにしているってことかもなあ。
夏目漱石て、やっぱり、抜群に頭がよかったりして」
といって、岡村明がわらった。川口も高田もわらった。
「おれは、夏目漱石って、すごい作家だと思ってるよ。
漱石を超えることができそうな作家は、
いまのところ、日本じゃ、村上春樹くらいかもね。
おれや、みんなに、小説の『こころ』で、
三角関係やエゴイズムのばかばかしさを、
教えてくれたんだからね。
それと、あのタイトル、なんで『こころ』なのかといえば、
エゴイズムを解消したときの、『こころ』が大切なんだと、
漱石はいいたかったのじゃあないかな。
心って、すなわち、魂ともいえるよね。
おれたちのロックだって、心や魂を大切にするために、
やっているようなもんじゃないかな。
おれは、そんなことに、高校のとき『こころ』を読んで、
そう思つづけてきたんだ。ロックでも芸術でもいいから、
漱石の遺志を、ついでいけたらなあってね。」
「そうだね、しんちゃん。おれたちは、
その心や魂のためにも、やっていこうぜ」
と岡村が、ジョッキの乾杯を川口に求めた。
「夏目漱石の弟子だね、まるで、川口は。その弟子の川口も、
こうやって、三角関係で、またまた、すごく、成長したってわけかあ。
うまくいかない恋愛に、つぶれそうになるのが普通なのに、
川口はすごいよ。最高な、ロックンロール野郎ってとこかな。
今夜のライブも大成功だったし。よし。おれたちの、
これからのロックンロール人生を祝って、
乾杯しようぜ!」と、高田翔太もジョッキを手にした。
「乾杯!」
3人が、ジョッキを差しあげて、触れ合わせると、まわりのみんなも、
祝福の気持ちをこめた、乾杯がつづいた。
夜も更けて、12時ちかくの閉店のころ、
かなりに酔った、川口信也は、
「また、ライブやろうぜ」と、松下陽斗と、
固い握手を交わした。
陽斗の隣にいた美樹にも、
川口は、「美樹ちゃん、酔っちゃったよ」と笑顔でいった。
「しんちゃん、今夜のライブ、最高だったよ。すごく感動しちゃったわ」
と美樹がいうと、川口は「ありがとう」といって、男らしく、ほほえんだ。
≪つづく≫
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