第三章
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第三章
「本当にな」
「仲直りしたいの?」
「そうだよ」
彼もまた本音を言った。
「実際のところはさ」
「そうよね。どうにかならないかしら」
「俺がアドバイスするにはさ」
丈瑠の方から言ってきた。
「一度菅生と話した方がいいな」
「隆博君と?」
「そうだよ。今顔を背け合ってるよな」
「うん」
「だったら向かい合ってさ。しっかりとさ」
「それがいいのね」
敦子は彼の言葉を聞いて少し考える顔になった。
「話し合うのね」
「ああ、そうしたらどうだよ」
「そうね」
丈瑠のアドバイスにさらに考える顔になる。そうしてその顔で言うのだった。
「それじゃあ」
「話し合ってみるのか?」
「そうしてみるわ」
小さくこくりと頷いて答えた。
「やっぱりね。一度じっくりと」
「太宰が好きで志賀直哉も好きな人も多いしな」
「考えてみればあれよね」
敦子も言うのだった。
「どうでもいいことよね、そんなの」
「限りなくな。そうだよな」
言っているうちにだった。丈瑠もまた気付いたのだった。
「俺の方もそうだよな」
「山口君の方も?」
「考えてみるとそうなんだよな」
首を捻りながら言うのだった。
「やっぱり」
「仲直りするってこと?」
「考えてみればテニスとか水泳とか些細なことなんだよな」
そのことに気付いたのである。
「本当にさ。そんなことは」
「じゃあやっぱり仲直りするの?」
「そうするのが一番だよな」
結論としてはそうなのだった。それしかなかった。
「やっぱりな」
「そうよね。喧嘩したままなんて」
「とりあえずあいつと話すか」
パンを食べながら言うのだった。クリームパンの中のクリームを味わいながら。
「そうするか」
「私も菅生君と話してみるわ」
「ああ、それじゃあな」
「ええ」
こうして二人共仲直りの為にそれぞれの相手と話すことにした。その時優子は相変わらず火山の噴火口の様に怒っていた。そうしながら学校の廊下を進んでいるとだった。
前から来た隆博にまともにぶつかった。ぶつかってから言う言葉は。
「気をつけなさいよ!」
「ってぶつかっておいてそれはないだろ?」
ぶつけられた隆博はすぐにその優子に抗議した。
「そっちが見ていなかったんじゃないか」
「五月蝿いわね」
しかしそれを聞くことは今の優子には到底できないことだった。
「あんたもぼーーーってしてたんじゃない」
「それはそうだけれど」
「わかったら文句言わないの」
八重歯を牙の様にして抗議を続ける。
「いいわね」
「ちぇっ、わかったよ」
「ちぇっ、はいいのよ。それはそうとしてよ」
「うん」
「あんた何処に行くのよ」
こう隆博に問うのだった。
「一体何処に行くのよ
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