マクロスF
0709話
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ではね」
検疫、検疫か。だが、それにも不自然な点は残る。俺やアルトはまだいい。敵の母艦に侵入したんだから、未知の病原菌を持っていても不思議でも何でも無い。だが、何故カイトスやダルフィムの乗員は検疫を受ける必要がある? バジュラと接触したという意味では、シェリルのライブの時にアイランド1に侵入してきたバジュラと接触した住民も多くいる。だが、それらは殆どが簡易な検査で解放されているのだ。それなのに、カイトスとダルフィムは……いや、単純に俺の考え過ぎか? だといいんだが、な。
「それで、これからの予定はどうなっているんだ? さよならライブをやって帰るにしても、肝心のギャラクシー船団が……」
「ええ、そうらしいわね。あの2艦にしてもギャラクシー船団が襲われた直後に避難してきたって話だから、今ギャラクシー船団がどうなっているのかは分からない」
「じゃあ、もう暫くフロンティア船団に残るのか?」
「でしょうね。悪いけど、こっちも必死だからフロンティア船団を利用させて貰う事になるでしょうね。それこそ、あたしの名前を使ってでも」
溜息を吐きながらリンゴを口に運ぶシェリル。
その姿を見ていると無理をしているように感じられ、思わずその肩にそっと手を置く。
「あまり無理をするなよ」
「べ、別に無理なんかして無いわよ! あたしを誰だと思ってるの!?」
「俺にとってお前は銀河の妖精でも何でも無いシェリル・ノームだよ。ま、色々と強がって素直になれないけどな」
そう口にした途端、照れか怒りか、あるいは恥ずかしさか。とにかくそれらの感情でシェリルの顔が赤く染まる。
「ちょっと、アクセル。あんた年下の癖に生意気よ。そういう台詞は、もう少し大きくなってから気になる相手に言いなさい」
そう告げながら、ぐにっと俺の頬を抓ってくるシェリル。
その行動が照れ隠しであるのは明らかだったので、取りあえずは元気が戻ったようで何よりだと判断する。
そのまま10秒程俺の頬を抓っていたシェリルだったが、やがて痛がっていないのに気が付いたのだろう。少し不満そうな表情をしながらも、俺の頬から手を離す。
「ま、まぁ、いいわ。けどこれで決めた方がいいわね」
「……決める? 何が?」
「さて、何かしら。それはちょっと後でのお楽しみよ。楽しみにしてなさい。じゃ、あたしはこの辺で戻るわね。この後記者会見が待ってるから。早く退院しなさいよ」
最後の1口とばかりに残っていたリンゴを口の中へと放り込み、軽く手を振って病室を出て行く。
一瞬病院の外まで送った方がいいのか? とも思ったが、よく考えたらシェリルであると周囲に知られた時に俺が一緒にいる方が不味い事態になるだろうと判断し、そのまま見送る。
……決して面倒になったからではない。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ