第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十七話 歪み・綻び
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処に輝夜までいるのか?何故その輝夜が家出などするのか?……など等色々な意味を込めて。
「さぁ?きっとそういう年頃なのよ、多分。まぁどうせ殺しても死なないのだし野垂死にする事もないでしょう」
永琳はさもどうでもよさそうに薄く笑いながらそんな発言をする。そんな永琳に依姫が、
「永琳様、如何に永琳様と云えど月の姫である輝夜にそのような物言いは――――」
「……そうね、気をつけるわ―――――」
依姫の注意を受け永琳はそう返すが最後の方で「まぁ死なないのは本当なんだけどね」と呟いたのを虚空だけが聞いていた。
「……まぁとりあえず輝夜を探さないといけないんだね?僕も手伝うよ、まだそんな遠くには行っていないでしょ?」
「……いえ多分相当遠くまで行っている可能性が――――」
何時居なくなったのかは虚空は知らなかったが流石にそこまで移動速度は無いであろう、と思っていた虚空の発言を豊姫が否定する。
「輝夜の能力を使えば私達に気付かれず、しかも短時間で相当な距離を進む事も可能なのです」
補足するように依姫がそう答えた。
「そもそもお兄様が輝夜の捜索に加わる必要は無いわ」
永琳のその言葉に虚空は疑問符を浮べながら問い返す。
「?どうして?」
「決まっているじゃない、あの子の捜索は須佐之男達にでも任せればいいのよ。そんな事より重要な事があるでしょう?――――お兄様は私と一緒にこれからすぐにでも月に帰るんだから」
永琳はさも当然という感じでそう言った。虚空との思いもよらぬ再会で彼女の中では輝夜の事は二の次三の次になっており虚空と共に月へ帰還する事が最重要事項になっているのだ。
彼女の言っている事はある意味でとても正しくそもそもにおいて月への帰還は虚空の生きて来た目的そのものである。
だが当の虚空は永琳のその発言に―――――普段の彼からは想像出来ない程に動揺の色を見せていた。まるで“そんな考えが無かった”かのように。
そして虚空と同じ様に同様の色を見せた者がいた、神奈子である。
彼女は虚空の過去を聞いた事が無かった。そもそも虚空が自分の過去を話した事も無い。
その虚空の今までの軌跡を掻い摘んで説明され虚空が日課の様に毎晩夜空を見上げていた理由を理解した。
虚空が自身の望みの為に歩んで来た年数は神奈子の想像を絶しており、その願いが今叶おうとしているという事実に少なからず祝福の念があるのもまた事実だ。
だが彼女の中に言いようのない感情が渦巻いている。端的に言うなら“虚空を月に行かせたら二度と帰ってこない様な気がする”と。此処で行かせたら絆が切れる様な――――そんな不安だ。
「どうしたんだ神奈子?顔色悪ぃーぞ?」
神奈子の隣りに腰を下ろしていた須佐之
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