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雲は遠くて
7章 臨時・社内会議 (その5)
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なものでしょうか・・・」

そういうと、宮田俊介は、向かいのテーブルの、社長や副社長を、
ひかえめに見ると、しずかにちょっと微笑(ほほえ)んだ。

「それは、いいアイデアですね。ミスやロスを防止する
方法として、なにも対策もしないで、ただ、『注意してする』
だけより、『OK(オーケイ)』と無言でもいいから、
確認したほうがいいでしょう。
さすが、名シェフの俊介さんだ。ありがとう。
さっそく、このアイデアは、全社的に、実践しましょう」

そういって、社長の森川誠は、満面(まんめん)()みで、
上機嫌(じょうきげん)で、大きな声でわらった。

「そうそう、岩崎さん、農業・事業部の、IT(アイティ)化計画は、順調かね。
農作物のデータを数値化や、パソコンでの管理で、効率のいい農業の
実現ができるからね。わが社の利益・創出の生命線ですからね」

森川誠が、向かいのテーブルの、コンサルティング・ファーム・部長の
岩崎健太に、そういった。
今年で37歳になる岩崎健太は、IT(アイティ)技術者でもあり、
モリカワのウェブ・アプリケーションをつくったりする、IT部門のリーダーだった。

「ええ、順調です。できるだけ、パソコンで管理できるシステムを、
導入してゆきます。そうすれば、おいしい野菜や果物を、量産して、
コストダウン(原価低減)もできます」と岩崎はいった。

「岩崎さんも、アイデアの天才っぽい人ですからね。モリカワは(すぐ)れた
人たちに、本当に(めぐ)まれています。みんなで、がんばりましょう」

森川誠が、そんな言葉をのべて、会議は終了した。

≪つづく≫ 
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