第二章
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第二章
朧月夜
今いるのは俺だけだ。朧な夜の中に一人だけで佇んでいる。
あいつと喧嘩をした夜。二人で楽しく過ごす筈の夜が急に寂しいものになってしまった。
俺が悪い話だ。ついかっとなった。それで言ってはいけないことを言った。
それに傷ついたあいつは泣いて何処かへ行ってしまった。今頃きっと自分の部屋で泣いているだろう。一人枕に顔を埋めて。
今の俺にそれを慰める資格なんてない。俺が傷つけたからだ。
何をすればいいかわからない俺はただ夜道を一人歩くだけ。どうしようもなくてぼんやりと下を見たり横に目をやったりして歩く。そこに何があるというのでもなく。
そんな時にふと上を見上げた。考えがあるわけでもなくたまたまだ。するとそこには月があった。白い月夜が朧に浮かんでいた。
その月を見上げていると今のどうしようもない気持ちがさらに増していくように思えてきた。いたたまれないというよりはやりきれない気持ちになってきた。
俺が悪いのはわかっている。けれど。
この気持ちが心を覆っていく。俺の心が上にある朧な月の光と一緒になっていくのがわかった。
その光を見ていて俺は。見るのに耐えられなくなって俯いた。そのまま自分の家に帰りたくなった。
明日心を晴れにして彼女に謝ろう。そう考えながら。
俺は夜道を戻る。朧な気持ちのまま。それでも明日のことを考えながら。
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