空白期 第10話 「出会う少女達」
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っています」
「なあシュテル、話が訳の分からない方向に進んでる気がするんだが?」
「ショウは黙っててください。私は今、とても大事な話をしているのですから」
シュテルちゃんの注意にショウくんは、自分の話題に含まれているんだから黙れというのはおかしいだろうといった独り言を口にした。彼女が聞く耳を持っていないようなので最終的に黙ることを選んだようだが。
「えっと、大事な話なん?」
「……大事ではないというのですか?」
「いや、大事云々前に……正直に言うてシュテルちゃんの主旨がよう分からんかな」
確かにはやてちゃんの言うとおりだ。シュテルちゃんが言っていることは、完結的に言えばショウくんに私達が会ったことがない知り合いがいるということのはず。この短い間に似たようなことを何度も思ったけど、彼女はいったい何を考えているのだろう。
「本気で言っているのですか?」
「そうやけど……」
「……あなたは今までの話を聞いてどう思ったのですか?」
「どうって……話に出てた子達についてはそっくりさんってことしか分からんかったかな。あとは……ショウくんもちゃんと人との繋がりを増やしてるんやなぁ、って安心はした」
「……なあはやて、安心したってお前はいったい何なんだ?」
「そうやなぁ……悪友兼お姉さん?」
「お前にお姉さんらしいことをされた覚えがないんだが?」
「出来の良い弟を持つとお姉さんはつい甘えてしまうもんなんよ」
はやてちゃんの返事にショウくんは呆れたような顔を浮かべた。ただ先ほどまでと違って、今の彼の顔には笑みもある。きっとふたりはこのようなやりとりをいつもしているのだろう。
――ショウくんって本当にはやてちゃんと仲が良いよね。
自分と話しているときと比べてみると、簡単には埋められない時間のようなものが感じられるほどに。私がはやてちゃんくらいの友達になるまでには、あとどれくらいの時間がかかるのだろう。未だに名前で呼んでもらえていないわけだし。
「……はぁ」
静かに吐かれたため息に私の意識は、反射的に無表情の少女へと向いていた。
冷静に考えてみれば、彼女は話には聞いていたとはいえ私達とは初めて会っている。もしかすると適当な言葉も彼女なりに会話を弾ませようとしたのかもしれない。本来とは別の意味で弾んでいたような気もするが。
「えっとシュテルちゃん……その、私達と一緒にいるのって楽しくないかな?」
「ん、いえ別にそんなことはありませんよ。通りかかる人達に奇妙な視線を向けられるのはあまり心地良くありませんが」
「その……ごめんなさい」
「なぜ謝るのですか? 私とあなたが似ているのはただの偶然でしょう。……それとも、あなたは私の真似をしているのですか?」
「真似なんかしてないから引いたような
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