第三十三話 今頃の試行錯誤
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内野を越えてくれました。)
一塁上で、ジャガーの控えめな笑顔が弾けた。マウンドでは飛鳥が、理不尽だとでも言いたげに頬を膨らませていた。
「やったー!」
「ジャガー、いいぞー!」
「いける、いけるぞー!」
この回の二点目に、南十字学園ベンチは段々と生気を取り戻しつつあった。
「浦中ァ、お前ちょっとブルペン行って来いよォ」
帝東ベンチで前島監督が言うと、ベンチの選手がぎょっとして振り向いた。
「……今日はよほどの事が無いと投げないと、さっき……」
エースの浦中が訝しげに言う。
帝東としては、準決勝で南十字学園を飛鳥できりきり舞いさせて、決勝で万全の浦中投入というプランだった。もちろん、トーナメントなので目の前の試合が最優先だが、浦中はこの試合温存が理想で、しかもまだ6点もリードがある。それでも準備させるというのは、この二失点目に前島監督が大きな意味を感じとったのか。
……もしや、浦中を投入せねばならない展開になっていく事を……
「あぁ、明日の決勝に向けての準備だ、準備。この試合は神島の完投でいくつもりだから。ほら、そんな顔すんなよ、早く行ってこい」
「はい」
浦中がブルペン捕手と一緒にベンチから出て行く。前島監督は、口では飄々とそう言ったが、内心、悪い予感がふつふつと湧き上がってくるのを無視できずに居た。
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