第十八話 姉妹の力その十一
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「本当に」
「そうよね、何か皆の周りって」
裕香は他の力の持ち主達のことも話した。
「いい人ばかりよね」
「だよな、あたしにしても」
「よく小説とかだと孤児だとね」
「悪い環境にいたりってあるけれどな」
「皆違うわね」
「有り難いことにな」
そうだとだ、薊は裕香にも応えて言った。
「本当にいいことだよ」
「私達もそうなのよ」
鈴蘭は紅茶を飲みながら笑顔で話した。
「有り難いことにね」
「渡る世間に鬼はないっていうけれどな」
「鬼はいても」
黒蘭は薊の言葉を聞いてこう述べた。
「鬼より遥かに仏様の方が多いわ」
「だよな、世の中って」
「それで私達もなのよ」
また言う鈴蘭だった。
「周りにいい人達ばかりで、親戚家族もね」
「いいことだよ、まああんた達のことはわかってきたな」
「それは嬉しいわ」
「そうだよな、まあ隠すことはないか」
「プライベートのことを知りたいのかしら」
「彼氏とかいるとかかよ」
「そうしたことは聞かないのかしら」
鈴蘭はくすりと笑って薊と裕香に問うた。
「そうしたことは」
「彼氏なあ、特にな」
別にとだ、薊は首を傾げさせてから鈴蘭の今の言葉に返した。
「興味ないよ」
「そうなのね」
「あたしもいないし他の娘に彼氏がいてもな」
「興味ないのね」
「というか彼氏ってな」
そうした存在についてもだ、言う薊だった。
「いいものなのかね」
「どうかしらね」
「わからないわ」
鈴蘭も黒蘭もこう言ってきた。
「彼氏については」
「私も知らないわ」
つまり二人共彼氏やそういう風に呼べる相手はいないというのだ、そのことを素っ気なく述べたのである。
「ずっと二人だし」
「お友達はいても」
「まあ彼氏のことはいいか」
「そうよね」
裕香もこう言うのだった。
「私もいないし」
「というか何かあたし達全員彼氏いないよな」
「そうした相手はいないわね」
「本当に皆な」
「智和先輩も彼女いないし」
「ああ、あの人ね」
智和と聞いてだ、鈴蘭は目を瞬かせて言った。
「あの人は有名人ね」
「学園で一番の優等生だよな」
「そう、それでね」
「顔もいいしな」
「あの人が貴女達の協力者なのね」
「そうだよ」
その通りだとだ、薊は鈴蘭にこかっと笑って答えた。
「頭がいいしさ、性格もいいから」
「性格ね」
「ああ、気さくで面倒見がよくてさ」
「噂通りの人なのね」
「本当にいい人だよ」
薊は二人に智和のことを笑顔で話し続けた。
「頼りになるよ」
「そうなのね」
「まあ何かあったらな」
ここでだ、薊は二人に自分ではさりげなくのつもりだが結構以上にあからさまな声でこう言ったのだった。
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