第三十二話 真打ち
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捕手のポジションに膝をついて、大友は呆れていた。呆れながらも、どこか嬉しそうだった。
「……だから、ウチに欲しかったんだよこいつは。ウチならプロにもしてやったのに。」
帝東ベンチでは前島監督が、惜しそうに権城を見ていた。高校進学に当たっては、前島監督も権城に誘いをかけて、そしてフラれていた。
(中学時代は七割打たれて……そして今日はホームランまで打たれた……何という屈辱……)
マウンド上の飛鳥はワナワナと震える。
試合の勝ち負けの事が一瞬頭から飛ぶような、権城に対しての完敗だった。
「さすが、権城さん」
ベンチに戻ると、ジャガーがニコニコしながら権城を出迎えた。権城はホッとした顔で、ジャガーとハイタッチ。
「あぁ〜良かったぁ〜。デカい口叩いて凡退したらどうしようかと思った〜。」
何とも腑抜けた顔で漏らした後、その顔をキュッと引き締めて、また大声を出す。
「ベンチの俺が打てたんだぞ!神島なんか大した事ねぇ!あと7点!何としてもとるぞ!」
「「「おぉーっ!」」」
特にベンチの中の一年生達が権城の言葉に刺激されて意気を上げ、それに煽られて三年生にも気合いが入る。
権城の代打ホームランで1-8。
残るイニングは、コールド負けまでは3回、9回までなら五回。
追いつけるか、7点差。
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