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Ball Driver
第三十二話 真打ち
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「投げるのは三回まで。こういう投球制限がかかっているんです。だから、権城さんの出番も……」
「ま、俺は頑丈だからな。それじゃ残りの五回、食わせてもらうよ。」

タイガーの話を聞いて、惰性でやっていた投球練習にも力が入る。三番手投手、権城はその肩を急ピッチで仕上げ直していった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ブン!
「ストライクアウトォ!」
(ま、また三振……)

4回の表、飛鳥がまた一番から始まる打順を三者凡退に抑えれば

「ストライクアウトォ!」
「えっ、マジッ?」

その裏の攻撃を姿が帝東打線に手を出させずキッチリ討ち取り、試合は五回の表に入っていた。

「ふぅ……」

姿はまだ三回しか投げていないが、右肩を気にして、腕を回す仕草が増えた。
圧倒的実力。しかし、その代償として体への負担も大きいのだろう。痛い辛いは全く表情に出さないが、無理はさせられないというものだ。もう十分、帝東打線の勢いは食い止めた。

「権城くん、代打」
「はい」

五回の表の先頭、4番の姿の打順で紗理奈は動いた。代打権城。権城は既に準備して待っていた。

(俺が代打して、このままピッチャーか。またこりゃあ、すげぇ采配だな)

権城は不敵な笑みを浮かべて、ゆっくりと打席に向かう。

(……あれだけの好投の新道に代打?代打出す要素ある?そりゃ、7回コールドまであと三回しか無いけど)

マウンド上では飛鳥が首を傾げるが、しかしその目つきは権城の顔を見るや、一気に鋭くなる。

(ま、良いや。……こいつと勝負できるんだし)

かつてのライバルの登場に、また飛鳥の闘志が滾った。



ーーーーーーーーーーーーー


<五回の表、南十字学園の攻撃は、4番ピッチャー新道くんに代わりまして、権城くん。バッターは、権城くん>

エルボーガードとフットガードをフル装備。使っているのは赤色のバット。これは中学時代から変わらない。
権城英忠が左打席に入る。

「よう、お前と対戦となると、3年ぶりか?久しぶりに実力見せてもらうよ」

話しかけてきた大友に、権城は笑って会釈した。武蔵中央シニアの先輩後輩同士、点差もあって和やかなムードが流れる。

(ヘラヘラして……試合中よ?バカにしてるの?)

マウンド上の飛鳥は不機嫌そうに眉間に皺を寄せていた。8点差があっても、全く気持ちが緩んでいないのは大したものである。

(中学の頃はボコられたけど……今はアタシの方が上なんだから。……努力の違いを見せつけてやる。)

意気込んでサインを覗き込む飛鳥。
権城の構えは背筋の伸びた大上段の構え。雰囲気の良さは中学時代から何も変わっていない。

小さく振りかぶって、飛鳥は
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