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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の休息篇
29.宴後の一時
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「やっぱ旅行先の料理は美味しいね」
緒河唯が頬に手を当て、とろけるような感嘆の声を出す。
「そ……そうですね」
それに対して緒河彩斗は死にかけの状態で机に突っ伏している。
ショッピングモール内のカフェテラス。屋外のテーブルには昼時に最も強くなった陽射しが降り注ぐ。
ただでさえ寝不足、疲労がある上に吸血鬼の弱点である日光まで受けてもはや彩斗は限界を迎えていた。
同じテーブルには友妃と夏音、美鈴が囲んでいた。
「彩斗くん、ほんと眠そうだね」
箸でなんらかの揚げ物を頬張りながら、唯が言う。
「眠そうだと思うなら俺を起こすなよ」
「だって彩斗くん波朧院フェスタの一日目なんて相手にしてくれなかったし、あたし一人で変な事件に巻き込まれて浅葱さんとサナちゃん守るの頑張ったんだよ。このぐらいしてもらわないとね」
当然という表情で唯は彩斗を説得する。
確かに唯には感謝している。監獄結界の脱獄囚から浅葱と那月を守れたのは彼女がいたからでもあった。
その点では感謝しても仕切れない。それでも彩斗は絃神島崩壊を救ったのだ。休憩ぐらいさせてほしいものだ。
「でも、彩斗くん、本当構ってくれなかったもんね」
美鈴は頬に手を当てながらわざとらしく言う。
「あんたが言うか。昨日勝手に絃神島を周ってたあんたが言うか」
少しだけ顔を上げながら彩斗はめんどくさそうに口を開いた。
美鈴は一昨日の夜から最低でも古城が優麻と入れ代わった最初の事件まではいなかったことになる。それまで帰って来ずに絃神島の観光をしていたとかわけがわからない。しかし彼女からその真意を訊く気力さえも彩斗にはなかった。
再び、彩斗は机に突っ伏して眠りにつく。
「彩斗さん。その……あーん……」
彩斗の口の前に揚げ物が出現した。なんの躊躇いもなくそれを口にした。
サクッ、という快音が響いた。そのすぐあとに口内に甘辛いコクのある味わいのソースと衣の食感が広がる。どうやらトンカツのようだ。
だが、ソースをかけすぎたのかトンカツ本来の味はあまりしない。
それでも眠りそうな彩斗にはいい刺激だ。
「ありがとな……美味いよ」
「そ、そうですか。良かった、でした」
そのとき彩斗は誰が食べさせてくれたかを理解した。しかし今の彩斗には、自ら食事しようという気力さえもない。
赤面する顔を隠すように机に突っ伏す。
「彩斗さん……あーん」
再び、聞こえた柔らかな声に恥ずかしさを隠しながらも顔を上げる。
「あ、ありがとう……夏音」
「いえ……大丈夫でした」
夏音の頬もわずかに紅潮している。
彩斗は頬どころか顔全面が真っ赤になっている。
「あらあら、食べ
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