暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ーBind Heartー
食べてしゃべって飛び跳ねて
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まで落下していた。
マズイ。これは、間に合わない。
現実世界とは違い、SAOではポットの中身が絨毯にぶちまけられるという事態は起きない。だが、固定アイテムではない道具にはそれぞれ耐久値が割り振られている。衝撃を受けてそれが0になれば、ポリゴンの欠片となって消滅することとなる。
しかも、こんなに小さなアイテムだと耐久性は高くはない。もし落ちれば、すぐに消滅してしまうだろう。
金欠だと言っていたトーヤにこんな高そうな家具を弁償できるのかだろうか、とか思っていたら、視線の先からポットが消えた。
一瞬もう壊れてしまったかと思ったが、アイテム消滅時の効果音が発生していないことに気がついた。
「ふっふっふ。こっちですよ」
笑を含んだトーヤの言葉に、俺たちはそちらを見る。
すると、さっきまで床のすれすれまで落ちかかっていたアスナのポットが、トーヤの左手の中に再び収まっていた。
だが、驚きはそれだけで終わらない。
トーヤは椅子の上で、空いた右腕を使って逆立ちをしているのだ。
「ふふっ。更に……よっ、と」
そのポットを今度は真上に放り上げたかと思ったら、その間にくるりと空中での見事な回転を見せて何時の間にか正常な座り方に戻る。そして、残されたポットの着地点はというとーー
「よいしょっ」
ーートーヤの頭上に、カツンと小さな音と共に乗っかった。
「じゃじゃーん!」
「うわ……」
得意気にサウンドを口で発して両手を広げるトーヤに、思わずそんな声が漏れていた。
これがステージの上で行われていたら、間違いなく拍手が起こっているだろう。
トーヤがやってみせたのは、体術スキルから派生されるスキル≪軽業(アクロバット)≫だ。
そこまで珍しいスキルではないが使い勝手が難しく、ここまで使いこなしているプレイヤーはそうそういない。
「ふふん。これだけじゃないです。何度も前線のダンジョンに潜っている間に、結構レベルアップしたんですよ。今日だって、ちょうど安全マージンが取れるくらいまで鍛えられましたし。それじゃあ、お次は空中三回転をーー」
「やめなさい。すごいのは認めるけど、さっきからマナーが悪すぎ」
部屋の主であるアスナのドスの聞いた声に、トーヤはおとなしくテーブルに乗せた両手を膝に乗せて引き下がった。
「ーースイマセン」
「それも、下ろしなさい」
「………………」
頭の上に乗ったままのポットをテーブルにそっと移し、今度こそ反省ポーズで座り込む。
そのシュンとした姿がまた子どもっぽくて、口の中で小さく笑ってしまった。
「そ、それで、同行の話ですけど。迷惑は絶対にかけませんから……お願いします!」
食い下がるかのように、頭を下げて懇願してきた。
しばし困ったようにそれを
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