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ソードアート・オンライン ーBind Heartー
食べてしゃべって飛び跳ねて
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ゃ……絶対に、いつになってでも……」
つぶやくような、小さい声でそう言ったのが聞き取れる。
トーヤにも、現実世界に何かやり残したことがあるのかもしれない。それは、コイツにとってはとても重大なことなんだろう。
すっかり重くなってしまった空気を悟ったのか、トーヤは気まずそうにお茶をちびちび飲みはじめた。
そんな空気を変えようとしたのか、アスナがコホンと小さく咳をひとつ。
「そうだ、キリト君。キミ、しばらくわたしとコンビ組みなさい」
「……は?」
何故か、俺に話が振られた。しかも、とんでもない内容で。
「ボス攻略パーティーの編成責任者として、君がウワサほど強いヒトなのか確かめたいと思ってたとこだし。わたしの実力もちゃんと教えて差し上げたいし。あと今週のラッキーカラー黒だし」
「な、なんだそりゃ!」
唐突すぎるうえにあまりの理不尽な言い様に思わず仰け反りつつ、必死に反対材料を探す。
「んな……こと言ったってお前、ギルドはどうするんだよ」
「うちは別にレベル上げノルマとかないし」
「じゃ、じゃああの護衛二人は」
「置いてくるし」
時間稼ぎのつもりでカップを口に持っていってから、空であることに気づく。アスナがすまし顏でポットを手にしようと手を延ばしーーたところで、トーヤが手早くそれを持ち上げた。
予想外な行動を起こしたトーヤを見た直後、俺とアスナはそろって目を丸めた。
さっきまでの申し訳なさそうな雰囲気は何所へやら、本日何度めになるかのキラキラした瞳をして俺のカップに新しくお茶を注いでいるのだ。
なにを考えているのかは知らないが、ろくでもないことであるのは予想できた。
「最強のソロプレイヤーと最強ギルドの副団長が組むってとは、やっぱり迷宮区の攻略ですよね? ですよね!?」
「そ、そのつもりだけど……」
トーヤに詰め寄られたアスナも若干たじろいでいる。
無理もない。俺だってこのマイペースな豹変ぶりには、先ほどたいへん驚かされたのだから。
「だったら、俺もお供させてください! 助けてもらったことと、美味しいご飯のお礼もしたいですし」
そのテンションのまま、今度はトーヤがとんでもないことを言い出した。
「アホか。今日まさに死にそうだったのに、そんな奴をほいほい連れていけるか」
いつ死ぬかわからないような奴を守りながら戦えるほど、最前線は甘くない。
俺がそう言って再びお茶を飲み出すが、トーヤは何故かニヤリと不敵な笑いを見せる。
そこからゆらりと体を揺らしたかと思うと、ポットを握っていた手を、唐突に開いた。
「あっ……!?」
アスナの短い声が挙げられ、俺が慌てて椅子から立ち上がったときには、高級そうな装飾の施されたポットは床にぶつかる直前
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