4章 多摩川(たまがわ)花火大会
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わすことに成功する。
クラシックやジャズやポピュラーなどの広いジャンルの音楽を、
感性豊かな、高度な、ピアノ演奏で、弾きこなして、聴衆を魅了してしまう。
そんな松下陽斗を、そろそろ、世間やマスコミも注目すると、純は予想している。
多摩川の水辺の、
二子玉川緑地運動場に設置された会場は、
人々であふれるばかりであった。
4時ころには、みんなは、森川純が用意してくれた、
隣り合わせの、2つの丸いテーブルに、落ち着いた。
花火打ち上げ前の、独特の高揚感や
雰囲気の中で、軽食などをつまみながら、
みんなは、自由気ままな会話を楽しんだ。
女子高生が4人もいるので、若々しい会話が弾んだ。
5時30分には、ステージ・イベントのオープニング・セレモニーの、
高校生の和太鼓の演奏。そして、区民の合唱団による合唱。
囃子保存会による囃子などが披露された。
やっぱり、夏祭りの、太鼓の音って、からだに響いてくるから、
気持ちいいなぁ・・・と美樹は思った。
会場に集まった、美樹たちや、たくさんの人々は、
夏祭りふうのセレモニーに、酔いしれた。
あたりが暗くなり始めた、夜の7時、花火のオープニングを飾る、
連発仕掛け花火の、スターマインが打ち上げられた。
何十発もの花火玉が、テンポよく打ち上げられる。
夜空に、つぎつぎと、色鮮やかな、花が咲き、消えてゆく。
ドン、ドドドーンと、炸裂する、その心地よい音は、からだの奥や、腹にもしみる。
ポップでキュートな連発の花火もあれば、特別に作り上げた10号玉が、1本ずつ打ち上がる。
ふと、美樹は、なぜか、夜空を色鮮やかに染める、花火の美しさと、
爆発音の中で、強い孤独感のようなものを、感じてしまうのであった。
・・・こんなに楽しい夜なのに、花火の儚さが、やけに、哀しい。
前は、こんなじゃなかったのになぁ。もっと無邪気で明るかったのに・・・
美樹の目には、誰にも気づかれないような、涙がうっすらと浮かんだ。
でも、姉の美咲は、美樹のそんな様子に気づいて、美樹の手をしっかりと握った。
「美樹ちゃん、だいじょうぶよ。何も心配しないでいいんだから。
わたしは、いつでもあなたを、1番に、大切に思ているからね。
わたしもあなたに、いろいろと、心配かけてごめんね」
美樹の耳元で、美咲は笑顔で、そう、ささやいた。
「お姉ちゃん・・・」といって、美樹は美咲を見て、ほほえんで、
美咲の差し
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