3章 家族
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受かれば、法科大学院に通わなくたって、
司法試験を受けられるんだから、美咲ちゃん、すごいよ、超優秀!
司法試験とかの合格祝いのパーティは、
ぜひ、わたしにさせてください」
森川は、そういいながら、左隣の美咲のグラスに、ジュースを注ぐ。
「森川さん、ありがとう。わたしも、弁護士を目指して、猛勉強しているの。
いまのところ、予備試験も、7月にあった論文式までは、
なんとかクリアーな気がしているんです。おかげさまで」と美咲。
「お姉ちゃんは、すごい猛勉強をしているのよ、森川さん。民法の本とか、
自分で声を出して読んでいるのを、録音して、それを家の中で、
いつも流して聴いているんだから。わたしたちも、それを、
毎日のように聴かされるんです。きょうは、まだ、そのお経にたいの、
流れていないんですけどね。知らず知らず、その聴かされる民法を、
覚えていたりもするんです。そのくらい、がんばらないと
覚えられないんでしょうけど。
わたしには、とても、お姉ちゃんのマネはできないです!」
そういって、無邪気で、ほほえましくなるようで、どこか、はにかむ、
美樹の笑顔を、みんなは見ながら、わらった。
「そうそう、森川さん、今度、森川さんの会社に、川口信也さんが
入社されるんですよね。わたしの大切な先輩ですので、
どうかよろしくお願いします」
といって、美樹は椅子から立ち上がって、テーブルの向かいの森川に、
ていねいに頭を下げた。
「美樹ちゃん、その話は大丈夫ですよ。
わたしの次男の純と同期の親友ですから。
純が、あの男ならと、認める友達ですから。
わたしたちが、しっかりサポートして、
川口信也さんには、いい仕事をしてもらいますから。
そうか、うちの純と川口信也さんは、美樹ちゃんの大学の、
今年卒業の先輩だもね。
大学公認のバンド・サークルの、ミュージック・ファン・クラブ、
なんていったっけ、そうそう、よく純が、MFC、MFC、
っていっている、そのサークルで、美樹ちゃんと、楽しく、
1年間を過ごしてきたんだったよね。
川口信也さんは、できるかぎりの最高の待遇を用意します。
美樹ちゃんも安心していてください」
森川は、美樹に、社長らしい自信ありげに、優しくほほえんだ。
≪つづく≫
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