3章 家族
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けないくらいの、正義感と・・・
なんでしたっけ、男気のようなものがある、
いまどき珍しいくらいの紳士なのよ」
美穂子は、美樹や美咲を見ながら、そういった。
「いやあ、どうも、美穂ちゃん、褒めてもらって。
でも、正義感といえば、おれよりも和ちゃんですよ。
和ちゃんの正義感には、頭が下がります。
というよりも、和ちゃんの正義感に触発されて、
おれも感化されて、正義感を持って、人の上に立って仕事をしてきたら、
会社がどんどん大きくなって来たようなものなんです」
と話しながら、森川誠は、清原和幸から「まあ、まあ」と、
ビールをグラスにつがれて、森川も清原のグラスにビールを注ぐ。
「酔っちゃって、身の上話っぽくなしましたね」と声を出して森川はわらう。
「まあ、森川家も、初めは、というと、下北沢の商店街で、
小さな喫茶店を、今は亡き、おばあちゃんが、
ひとりでやっていたんですよ。
おれは、ケーキとかの洋菓子が好きで、
高校を卒業して、洋菓子の店に修行に行っていて、
その3年後くらいに、おばあちゃんの店を継いで、
そこを改装して、洋菓子と喫茶の店を、始めたんです。
おれの弟も、おれに影響を受けて、そんなわけで、
兄弟二人で、がんばって、店の数を増やしていったんです。
そこで、だんだん、わかったんですが、自分の欲が先行していては、
事業は大きくできないし、人の上には立てないんですよね。
そんなころに、和ちゃんの正義感に影響を受けて、
おれも会社も、成長して、来れたんだと思います」
「誠ちゃん、おれを高く評価しすぎ。おれはただ、
困っている人を、法律の力で、なんとか守ってやりたくて・・・。
おれのおやじが、やっぱり弁護士で、おやじは確かに、
正義感が、人一倍強い人だったと思うけど。
でもね、誠ちゃん、人間って、自分やお金のためには、
そんなに強くなれないものだけど、人のためなら、
強くなれるんじゃないのかな」
と、清原和幸は、上機嫌なようすで、笑顔も絶えない。
「そうそう、そうなんだよね。自分のためなら、そんなに勇気も
意欲もわかないけど、人のためなら、がんばれたりするよね。
それが、正義感ってやつで、不思議な力の源で、
逆説的だけど、結果的に、いつのまにか、人のためにやることが、
自分のためになったりするんだよね、なんか不思議だよね・・・」
そう語りながら、森川は、おいしそうに、ビールを飲んで、酢豚をつまんだ。
「そうそう、美咲ちゃんも、いま、予備試験を受けているんだってね。
見事に、
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