3章 家族
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いテーブルがあって、
白い皿やビールやジュースのグラスが準備されていた。
庭の軒下の半日陰で育てている、料理の風味付けにも使える、
セリ科のチャービル(別名セルフィーユ)や、ブルーのサルビアが、
小さなガラスの花瓶に入って、テーブルを飾っている。
テーブルのすぐ横の、南側には、ソファが置いてある。
庭を眺めたり、テレビを見たりする、くつろぎの場所だった。
ソファには、祖母(そぼ )の清原美佐子がいた。
昨夜のロンドン・オリンピックの男子サッカー、3対0で勝った試合、
準々決勝、日本対エジプトの、録画を、テレビで見ていた。
「美佐さん、こんにちは。お元気ですか」
森川誠はそういって、美佐子の隣にすわった。
「はい、おかげさまで、からだの調子もいいですよ。
きょうは、ゆっくりと、過ごしていってくださいね」と、
美佐子は笑顔で、ていねいに頭を下げて挨拶をした。
テーブルには、美樹のこしらえたゆで卵の入ったグリーン・サラダや
枝まめ、姉の美咲がつくった冷たくしたパスタの、
トマトとチーズのカッペリーニ、母親の美穂子がつくった酢豚、
叔母のつくったナスやキュウリやキャベツの漬物とか、
料理も出そろった。
みんなは椅子にすわって、にこやかに、「かんぱぁーい(乾杯)」と、
みんなはそれぞれのビールやジュースのグラスを触れ合わせた。
「おれの大好きな酢豚ですね、美咲ちゃん、ありがとう」と、森川誠は、
左隣の美咲に目を細める。
「酢豚つくったのはママよ。わたしはパスタつくりました」と美咲は、
わざと頬をふくらませて、怒った顔をした。
「わっはっは。美咲ちゃん、ごめん。おじさんは、もう酔ってるね。
おれも、和ちゃんも、すぐ酔っちゃうんだから。ね、和ちゃん、パパ」
森川は、右隣の清原和幸の肩を、軽く手でゆらした。
「しかし、おれたちは、いつまでも、酒は強いよね。酔っても、
乱れないし、つぶれない」と和幸はわらった。
「そうだよな。でも、知らないうちに、つぶれていたりしてなぁ。
人生は、いつでも、うっかりできないもので」
と森川も、声を出してわらった。
「そうそう、パパなんか、外で飲んで帰ってくると、
つぶれっぱなしなんだから。ねえ、ママ」といって、
森川誠の向かい側にすわる美樹は、
おおげさな困った顔をして、
右隣の美穂子に話をする。
「森川さんもパパも、酔っぱらうと子どもみたいになるけれど、
仕事しているときは、誰にも負
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