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僕と康太の恋愛事情
僕と家出と心変わり その1
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「アキくん」
「な、何かな、姉さん」
「コレは何ですか?」
「そ、それはこの前海に行った時の水着写真であああああっ!?」
ガス ガスッ
「アキくん。思春期のアキくんが若い肉体を持て余しているのは、姉さんも分かっています」
ガス ガスッ
「痛い。痛いから! 分かっているのなら僕の脛を蹴るのをやめるんだ!」
「仕方ありません。このくらいにしてあげましょう」
「くっ。そもそも何で女の子達の水着の写真が見つかったくらいで姉さんにここまでされないといけないのさ!」
「当たり前です。姉さんはアキくんの姉であり保護者でもあるんですから。こういった写真が見つかった時、制裁を下すのは当然です」
「それが行き過ぎだって言ってんの! 姫路さんも美波も! 姉さんだって! やり過ぎなんだよッ!」
「あ、アキくん。姉さんはあなたのことを想って」
「暴力の言い訳なんて聞きたくない! 僕だってそろそろ我慢できないよ。悪いけど姉さんと一緒に暮らしていられない」
キィ……パタン スタスタスタ
「……。私は、なんてことを……」

                        ☆

 夏休みも後半に差し掛かった八月の上旬。僕、吉井明久は姉の制裁(という名の暴力)に耐え兼ねて家を出た。
 そろそろ日が暮れようかという頃合いの時間に、商店街を独り歩く。
 頭の熱が冷めた後も後悔の念は一切なかった。あんな姉と一緒に暮らしていたのでは、命がいくつあっても足りないだろう。
 僕がいくら小さな頃から頑丈な体をしていても、体の節々はごくごく普通に痛む。理不尽な行動にだって憤りを覚える。
 僕はどんな行動も許せるような、相手に都合のいい人間には絶対なれない。
 人通りの少ない商店街を歩きながら、これからどうすればいいのかを考える。一駅離れた田舎の爺ちゃん家に泊めてもらおうか……そう考えて駅前の方面を目指すことを決めた。
 商店街の終わりが見えてきた。少し足を速める。そこで――
「………明久?」
「ムッツリーニ?」
 商店街の片隅でひっそりと商っている電気屋から、レジ袋を下げた黒髪のクラスメイトが現れた。
 白いカッターシャツに緑色のネクタイ、下は普通のズボン。大人しげな雰囲気や小柄な体躯が特徴的な僕の悪友だ。
「………明久? 顔色が悪い」
「……いや。ちょっとね」
 姉さんとの間に起こった諍いは、できれば話したくない。そう思ってお茶を濁す。そのつもりだったのに……。
「………何かあった?」
「……うん」
 ムッツリーニは一歩近づいて、僕を上目遣いに見つめてきた。小首を傾げて、心配そうに僕の様子を窺ってくる。その姿を見て、僕は誤魔化すのを諦め素直に頷いた。隠し事をしても見透かされそうだったから。
「………その荷物……家出?」
「ぐっ……。そ
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