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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
IF・U「可能性の未来」
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香も少女に対抗するように反対側の腕にガシッとしがみついた。
「おい兄さんから離れろ。迷惑してるだろ」
「そんなことない。センセーはすごく喜んでくれている。汗が吹き出るくらい」
「どう見ても緊張によるものだろう! 第一、兄さんの好みは私のような大人の女性だ。お前は大きく外れている」
「知ってる。可愛いより綺麗系が好みだと把握してる。私も綺麗系」
「ふん、一部は大人と言えないがな」
「……私も萌香もたいして差はない」
「たいしてであって決定的に数字として差は現れている。確かこの前の健康診断では私のほうが三、上だったな」
「む……成長が止まった萌香と違って私はまだ発展途上。将来は母様のようなボインボインになるに違いない」
「誰の成長が止まっているだと!」
ギャーギャー、喧しくてかなわない。
「落ち着け二人とも……」
嘆息した俺はヒートアップしている二人を余所にするっと腕を引き抜いた。
「ところで、君はどこのクラスの生徒だ? 萌香とも親しいみたいだが」
「え?」
きょとんとした目で見返してくる生徒に俺も目を丸くして見つめ返す。
なんだかすごく場違いなことを聞かれたかのような反応に内心困惑気味だ。
「なに言ってるのセンセー。センセーのクラスの三組に決まってる」
「なに?」
俺のクラスだと? こんな子は知らないが……。
「もしかして編入生か?」
「……? 本当にどうしたの?? 今年の入学式からいただろう。センセーが不登校だった私を直々に学校まで引っ張ってきたんじゃないか」
あの時の強引さは忘れない、と頬に手を当てて顔を赤くする生徒。
……ダメだ、もう何がなんだかさっぱり分からない。意味不明だ。
頭痛すらしてきたこの意味不展開に頭を押さえていると、俺の腕に手を絡めていた萌香が顔を覗き込んできた。
「兄さん……本当に大丈夫か? もしかしてまだ本調子じゃないんじゃ……」
「いや、そんなことないが……」
「センセー……私のことが判らない……? 私だよ、白雪みぞれだよ……」
両手を胸の前で合わせて上目遣いで見上げてくる女生徒――白雪。
しかし、俺が知りうる在校生および卒業生のなかで白雪みぞれという生徒の名前はいない。
「君は――」
「あっ、あぶなーい!」
無意識に出た言葉はしかし、後方からやってきた声に上塗りされた。
カキーンッ!! と耳に残る金属音が廊下に響き、後頭部に衝撃が走る。
「兄さん!?」
「センセー!
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